プロ野球亭日乗BACK NUMBER
2007年の高橋由伸とタイプは違えど、
1番・亀井善行が勇気を与える理由。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2019/07/12 11:30
まさに巨人の“いぶし銀”といった立ち位置の亀井善行。原監督の信頼が厚いからこその1番起用だ。
「亀ちゃんはしっかりと仕事を」
プレーボールがかかっていきなり打席に向かう1番は、準備の時間も少なく、リズムを作るのが難しい打順で、嫌がる選手も多い。
高橋も後に「1番は好きではなかった」と語っている。
「でも僕は5番を打つより、いまは1番を打たせてもらって良かったかなと思っています。あれだけ得点圏打率が低かったから(笑)。1番で役割を果たせることでチームの力になれますから」
亀井が本格的に1番に起用されだしたのは5月26日の東京ドームでの広島戦からだった。その試合で3打数2安打1四球を記録してチームも5-4で1点差勝ち。その後は1番で先発した31試合でチームは21勝10敗と首位独走への道を一気に突き進みだしている。
「亀ちゃんはね。しっかりと仕事を果たしてくれている。何より彼が1番で出塁し、相手投手にしっかりと球数を投げさせる姿からチームは勢いというか、勇気をもらっている」
こう評したのは原監督だ。
「チームに勇気を与えるトップバッター」――ベテランに差し掛かった選手が必死になってチームの先頭に立つ姿に、チームは勇気をもらう。
タイプは違うかもしれないが、まさにそこが亀井に2007年のヨシノブが被って見える理由なのだろう。