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錦織圭、フェデラー戦の勝機と自信。
「対等とは思っていないですけど」
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2019/07/10 11:40
昨年のウィンブルドンに続き、8強入りを果たした錦織圭。次なる相手は“芝の帝王”フェデラーだ。
焦らず、神経戦を制した錦織。
この2番コートで、おそらく錦織だけが終始冷静だった。
「スライスを使ったり、しのぎながら、チャンスを待ちながらやっていた」
「簡単ではなかった。その中でも作戦を見つけて、徐々にいいプレーも出だした」
冷静に、しかし気持ちは引かないように。焦らず、しかし攻める気持ちも忘れずに。そんな、綱渡りのような神経戦を錦織が制した。
「しっかり戦ったなという充実感はある」
当たり前のように振り返ったが、これぞ錦織という、その意味では会心の試合だった。
四大大会8強入りは昨年のウィンブルドンから5大会連続となった。こういう嫌な相手、勢いのある相手に負けないことが快記録につながっている。
錦織の言葉に感じる余力。
「ここから最高の選手たちとやり合わなくてはいけないので、さらにレベルを上げなくてはいけない」
錦織が意気込みを示した。タンクにはエネルギーも残っている。全豪の準々決勝ではノバク・ジョコビッチと、全仏では同じ準々決勝でラファエル・ナダルと当たったが、ともに4回戦までにエネルギーを使い果たしていた。今回は、「さらにレベルを上げる」と言えるだけの余力がある。自信が胸の内にあるのだろう。
準々決勝では第2シードのロジャー・フェデラーに挑む。4回戦を終えたばかりで対策は「あまり考えていない」と話したが、「早い展開はしてくるだろう。今までのようにはラリーはできない。そこでどうやって戦うか、しっかり頭に入れて臨めたら」と続けた。
芝の王者への視線も、以前とは違う。
「対等とは思っていないですけど。あっちの方がはるかに記録も持っているし。でも、勝てるとは思ってます。怖さは前よりはないですし。もちろん強いのは強いし、ここでも優勝するレベルを持っている選手なので、そういう意味で多少怖さはありますが、向かっていくだけなので。自分の力を出しきれたら」