マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校球児のスポーツ推薦に潜む危険。
自分の進路を決められない選手たち。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/07/09 11:00
中学、高校、大学、社会人、プロという巨大な野球システムの中で、人生を翻弄される選手が減ることを祈っている。
進路選択を人任せにしすぎてはいけない。
たとえば進学希望なら、近隣の大学リーグ戦を直接見る機会を持とう。具体的に志望大学があるのなら、練習を休んででも試合を見にいって、抱いているイメージと実際がどうなのか、その目でしっかりと確かめよう。
大学野球の専門雑誌も出ており、多くの大学野球部がインターネットでその詳細を紹介している。掲載されている写真があれば、拡大して顔を近づけてジッと見つめてみることだ。
写っているグラウンドの光景や部員たちの表情から、自分なりの何かを感じ取ろう。感じ取って、自分なりの評価をしてみよう。人間18年も生きていれば、何か感じることがあるはずだろう。
そうやって、進路選択だって大事な自分の人生だということを実感してみよう。
人任せじゃいけないな……そんな気になった君には、進路選択の“資格”があるはずだ。
野球少年たちの日常は忙しく、せわしない。
目の前にかかった勝利、この夏の「甲子園」に一生懸命になることは大事なことであろうが、時には、フッと立ち止まって空のかなたを眺め、おのれの将来(ゆくすえ)に思いを馳せる時間があってよい。
そういう時間、瞬間があってこそ、勝負の中の「大局観」という大切な素養もはぐくまれるのでは……今は、そんな気さえしている。