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藤田菜七子が世界の舞台で戴冠。
その笑顔を、次は日本で見たい。
posted2019/07/04 08:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
藤田菜七子騎手がやってくれた。
現地時間6月30日、スウェーデンのブローパーク競馬場で行なわれたウィメンジョッキーズワールドカップ2019で見事に総合優勝を飾ってみせたのだ。
この企画は地元スウェーデンのほか、イギリスやフランス、ドイツ、ブラジルなどから招かれた10人の女性ジョッキーがそれぞれ5レースに騎乗し、着順に応じたポイントの合計を争うモノ。日本のワールドオールスタージョッキーズのスウェーデン女性ジョッキー版といったところだ。
これの日本代表として招待されたのが藤田菜七子騎手だった。
同騎手が海外のこの手のイベントに招待されるのは、これが5度目。
最初はデビューしたばかりの2016年8月。イギリスのサンダウンパーク競馬場に招待された。ここで自身初の海外騎乗を果たすはずだったが、騎乗予定の馬が極端にイレ込み、パドックで転倒。ついには曳き手をも引き摺り倒して放馬してしまった。当然、馬は除外となり、海外初騎乗はおあずけとなった。デビュー1年目で当時19歳になったばかりの少女には厳しい現実となり、彼女の瞳からは悔し涙が溢れていた。
“お祭り半分”でも、悔しさを露に。
2度目の騎乗となったのはそのイギリスの代替として同じ主催者が招待してくれた11月のアブダビだった。アラブでの競馬で、結果は7着。正真正銘の海外初騎乗を果たしたものの、残念ながら勝つ事は出来なかった。
3度目の招待はそれから2カ月と少し後の'17年1月。場所はマカオで、この時は男女混合騎手招待競走。日本からは武豊騎手と共に招待され、6レースの騎乗機会を得た。しかし、結果は4着が1回あっただけ。半数にあたる3レースで二桁着順に敗れるなど、ほとんどのレースが完敗に終わった。お祭り半分という感じのイベントではあったが、心底悔しそうな表情を見せていた彼女の事が忘れられない。
そして、4度目は同じ'17年の6月。この時も今回と同じくスウェーデンで行われたが、主催者は今回とは違い、先のイギリスやアブダビの時と同じ。普段は普通の公園という敷地にラチを立て、競馬場に見立ててレースを行なうような競馬で、善戦したものの3着に終わっていた。
ここまで、藤田騎手の海外遠征時の成績は8戦して未勝利。負けず嫌いの彼女にとってはなかなか良い思い出を残せないままでいた。