「谷間の世代」と呼ばれて。BACK NUMBER
谷間の世代・石川直宏が今振り返る、
黄金世代との比較、アテネ、ケガ。
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byYuki Suenaga
posted2019/06/27 11:30
「谷間の世代」屈指のドリブラーだった石川直宏。現在はFC東京の「クラブコミュニケーター」の役職を務めている。
少しばかり未練にも似た感情が。
1981年生まれが38歳になる今年、現役を続ける同世代は少なくなった。「僕も36歳までサッカーをやってみて、33、34歳くらいからの1年、1年は、その濃さが違った。そのときにしか気づかないことがたくさんあった」と石川。だから余計に、まだプレーできる選手には、長くピッチに立ち続けてほしいと願う。
「彼らにしか見えない世界をとことん見てほしいなって思うし、それをどう伝えてくれるのかも、僕は楽しみにしています」
石川は現在の仕事を通じ、「サッカーを離れたからこそ、客観的にサッカーを見ることができるようになり、サッカーのおもしろさにまた気づくことができた」。そのせいか、最近になって、少しばかり未練にも似た感情が芽生え始めているという。
「僕、あまり“タラレバ”って好きじゃないんですが、自分が一番よかった2009年のとき、今の感覚でサッカーしていたら、どうなっていたのかなって思うんですよね」
もちろん、あの胸のすくようなドリブルを、もうピッチ上で見ることはない。
だが、新たな気づきは、石川が充実した日々を過ごしていればこそ。「ここからでしょ」の姿勢に、いまだ変わるところはない。