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ダルビッシュと八村塁の意外な親交。
「精神的に僕の21歳の時と似てる」
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2019/06/24 11:45
日本人として初めてNBAドラフト1位で指名された八村塁。親交のあるダルビッシュも熱視線を送っている。
野茂さんみたいにパイオニアというか。
まるでダルビッシュ・ファンの人々が「Yu Darvish」のことを話すような感じで、彼は少し興奮気味に、こう続けるのだった。
「この世界にこれだけいろんな食べ物があって、餅が好きっていうのは分かるけど、餅とあんこって……その2つが好きって、ピッタリ合うってなかなかないじゃないですか。そういう人が来週ドラフト行くって言ってたんで、なんか凄いなぁって……」
最後の「凄いなぁ」に何とも言えない実感がこもっていた。
そして、32歳のメジャーリーガーが、21歳でNBAにドラフトされたバスケットボール選手に「そういう子」ではなく、「そういう人」と言ったところに、リスペクトを感じる。
年齢なんて関係ない。アスリートだろうが、ゲーマーだろうが、ユーチューバーだろうが、他の誰もやってないことに取り組んでいる人々、その中で突出した才能を発揮している人々に対し、何の躊躇いもなく、羨望にも似た眼差しを向ける。
それがダルビッシュ有という人なのだろう。
「他の日本人ができないことをしているってだけで、もう野茂(英雄)さんみたいにパイオニアというか、そういう存在に近いと思う。なんかね、すごい日本人って感じ」
「僕の21歳の時と似てるかも」
その眼差しはしかし、とても敏感だ。
ロサンゼルスで食事を共にした時、「(NBAで)絶対、成功してやるとかそういう気負った感じも、そんな雰囲気もなかった」と肌で感じた。
でも、とダルビッシュが言葉を繋ぐ。
「なんかこう、大きな権力に対して中指立ててる風な空気は、出ていた。僕の若い時と同じっていうか、『は? 俺が一番やし』みたいな。やってることは違うし比べられへんけど、精神的なところでは僕の21歳の時と似てるかも」