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リスグラシューが異次元に強すぎた。
宝塚記念圧勝で高まる海外への期待。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/06/24 11:30
後から振り返ってみれば、リスグラシューの3番人気にはレーン騎手の存在も反映されていたのだろう。
レーン「2番手で大丈夫だと判断した」
管理する矢作芳人調教師の予想を上回るパフォーマンスだった。
「びっくりするぐらい強かった。ゲートをしっかり出してほしいと伝えていましたが、まさか2番手につけるとは思っていませんでした。騎手の好判断です。香港遠征を2度経験して、馬が非常に強くなっていますね」
今回の短期免許最終日にJRA・GI2勝目を挙げたレーンはこう振り返る。
「仕上がりは完璧でした。いいスタートを切って、先頭に行くか悩みましたが、流れや展開から、ここ(2番手)で大丈夫だと判断しました。直線では、後方に強い馬がいても、非常に手応えがよかったので、自信がありました」
レーンは、4月27日の来日初騎乗から9週間で123戦し37勝。勝率30.1%という驚異的な数字を残した。今月26日からは地方の南関東で1カ月騎乗する。
秋は海外、ブリーダーズカップか。
リスグラシューは、これで通算成績を20戦5勝、2着8回、3着4回とした。GIで2着5回のシルバーコレクターでもあるのだが、勝つときは、昨年のエリザベス女王杯もそうだったように、1頭だけ異次元の走りをする。
今後は、レーンの母国オーストラリアのGIコックスプレート(10月26日)、アメリカのブリーダーズカップフィリー&メアターフ、ブリーダーズカップターフ(11月2日)などを視野に入れている。矢作師はこう話す。
「ブリーダーズカップなら牝馬同士のフィリー&メアターフだろうと思っていましたが、この強さならターフでもいいですね。オーナーサイドと相談になりますが、いずれにせよ海外に挑戦することになると思います」
2着のキセキを管理する角居勝彦調教師も、フランスの凱旋門賞(10月6日)参戦の可能性を示唆している。
夢はこれからもつづく。