球体とリズムBACK NUMBER
イニエスタ今季初得点は魔法みたい。
ビジャとお辞儀、日本での順応ぶり。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/06/20 11:50
不振にあえいでいた神戸が首位・FC東京を撃破。その主役はやはりイニエスタだった。
ビジャとともに仲間を賞賛した。
もちろん2人とも、1点を守り切ったチームへの賞賛も忘れなかった。
ビジャは「無失点を達成した守備陣を祝福したい」と言い、イニエスタは「難しい相手との試合で、チーム全体がすごく良い試合をした。ヴィッセルが持っている底力を信じる機会になればいい」と仲間たちの自信を喚起した。
リーグ戦7連敗の後に、2勝1分と持ち直し始めたヴィッセル。世界的なスター選手を集める手法はバルセロナというよりも一時期のレアル・マドリーに近い気がするし、それだけで勝てるほど今のJリーグは甘くない(スペインの知見を借りて本当に強くなりたいのであれば、マンチェスター・シティのように組織の中枢に現地出身のフットボールのプロフェッショナルを置いた方がいい)。
とはいえ、彼らの存在がこの国のサッカーにいっそうの輝きをもたらしているのも、また事実だ。その中心には──少なくともこのFC東京戦では──35歳の元スペイン代表MFと37歳の元同代表FWがいる。現在、耳の手術で離脱中のルーカス・ポドルスキの復帰にはもう少し時間がかかりそうだが、W杯覇者は2人だけでも十分に違いを作ることができる。
フィンクは現役時代にCLを制覇。
そしてポドルスキと同胞のドイツ人、フィンク監督は現役時代にオリバー・カーンらとともにチャンピオンズリーグを制したバイエルンのメンバーのひとりだ(監督としては、バーゼルでスイス・スーパーリーグを連覇)。
つまり現在の神戸には、3人のチャンピオンズリーグ優勝経験者(イニエスタ、ビジャ、フィンク)と3人のW杯王者(イニエスタ、ビジャ、ポドルスキ)がいる。
なんとも豪華な顔ぶれだが、新監督は初戦を見るかぎり、質実剛健なタイプに映った。ピッチサイドで選手と共に走ったり、大きなジェスチャーで彼らを鼓舞したり、入り組んでいたような戦術をいったん整理したり、と。