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伊調馨、登坂絵莉も優勝できず……。
レスリング東京五輪争いが熾烈すぎ。
 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT

posted2019/06/18 12:15

伊調馨、登坂絵莉も優勝できず……。レスリング東京五輪争いが熾烈すぎ。<Number Web> photograph by Naoki Morita/AFLO SPORT

全日本選抜レスリング選手権大会(明治杯)で憧れの登坂絵莉(左)との初対決を制した須崎優衣。世界選手権の出場権をかけてプレーオフに挑む。

“富士山”には至っていなかった須崎。

 須崎は2017年と'18年の世界選手権優勝者。一昨年に初めて世界チャンピオンになった時はまだ高校生だった。しかしながら、いずれの年も世界選手権後に開催の全日本選手権では優勝していない。'17年の同選手権準決勝では入江ゆきに完全に出方を読まれ、0-10のテクニカルフォール負け。昨年の同選手権は直前の左ヒジのケガによって欠場を余儀なくされた。

 '17年以降、須崎にとってはエベレストの登頂には成功したが、富士山のそれには至っていないという感じだろうか。

 今大会でも試練は続く。抽選による組み合わせによって15日に組まれた初戦(準々決勝)でいきなり入江との大一番になったのだ。過去、入江との対戦成績は4勝2敗。直近の2試合は連勝しているが、入江も東京オリンピック出場の夢を持つだけにモチベーションは高い。

主導権を握られるも、勝負強さを発揮。

 案の定、最軽量級らしく、スピーディーでキビキビとした展開の中、第2ピリオドになると2-2と追いついた入江が試合の主導権を握る展開に。タイスコアだとビッグポイントをとった方、あるいは最後にポイントをとったりした方が勝ちとなる。

 細かいフェイントをかけながら須崎はタックルに入ろうとするが、入江は距離を保ちながら徹底抗戦。残り時間3秒を切り、このまま入江の逃げきりかと思った刹那、須崎は両足タックルの要領で懐に入るや首と太股に手をかけて押し倒した。

 これで4ポイント。土壇場で尋常ではない勝負強さを見せつけるとともに、逆転勝ちを収めた。

 入江は終了間際に心のスキが生まれたことを否定しない。

「最後は守りに入ってしまった」

【次ページ】 目の前で見る五輪に、涙。

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