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J・ヒックスとJ・ヘイダー。
MLBで最も打ちにくい魔球使いは誰?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2019/06/08 09:00
4月8日、ロサンゼルス・ドジャース戦に登板したジョーダン・ヒックス。
ヘイダーのスライダーに惚れ惚れ。
一方、左投手で最も打ちにくいのは、ジョシュ・ヘイダー(ブルワーズ)に尽きるだろう。この人はとにかく、空振りを取れる。今季は108人の打者と対戦して被安打13、与四球8で、奪三振が57!
投球回数(29回3分の1)が少ないため、被打率ランクには記載されていないが、この数字は、ジャスティン・ヴァーランダー(アストロズ)の1割4分7厘(87回3分の1)や、ルイス・カスティーヨ(レッズ)の1割8分(75回3分の2)に劣らぬと見てよい。
右打者に決まるクロスファイアのスライダーは、いつ見ても惚れ惚れとする。
36歳を迎えた巨星ヴァーランダーについては、付言することが少ない。毎分2500回転のフォーシームは健在だし、時速80マイルのカーヴは相変わらず滝のように落下する。通算3000奪三振まではあと191個。もしかすると、今季中に達成できるかもしれない。
アルバラードの異様な高速シンカー。
伸び盛りという言葉が当てはまるのはルイス・カスティーヨだ。まだ26歳。この右腕から繰り出される96マイルのツーシームは、厄介な球だ。真ん中からシュート回転して左打者の外角に決まると、まずバットが出ない。チェンジアップもよく変化する。
異様な曲がり方といえば、左腕ホゼ・アルバラード(レイズ)の高速シンカーも、魔球と呼ぶほかない。これは、左打者の膝元から外へ逃げていくかに見えて急に向きを変え、内角に食い込んでくるのだ。打者はお手上げ。
これ以外にも、打ちにくい球を投げる投手は何人もいる。
「速くてよく曲がる」ロベルト・オスナ(アストロズ)のカッター(92マイル)。「最もよく沈む」と評されるジャレッド・ヒューズ(レッズ)のシンカー(92マイル)。「被打率の低さを誇る」ディエゴ・カスティーヨ(レイズ)のカッター(91マイル)。