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長谷部誠が過ごした最高の1年。
クラブと街に愛され、築いた信頼。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/06/09 12:00
苦しい台所事情のなか、躍進したチームを支え続けた長谷部誠。来季はフランクフルト在籍6年目のシーズンとなる。
最年長の長谷部、来季で6年目。
2019年6月4日。ルカ・ヨビッチがレアル・マドリー(スペイン)と2025年までの契約で合意したことが発表されました。今後も何人かの選手はフランクフルトを離れ、新天地へ活躍の場を求めるでしょう。移籍金で運営資金を確保するフランクフルトのような小さなクラブにとって、選手との別れは毎年経験する儀式のようなものです。
一方、来年6月までの契約を交わしている長谷部は、このクラブで6年目のシーズンを迎えます。もちろんチーム最年長、文字通りの看板選手です。
6月のフランクフルトは、新緑に眩いばかりの陽光が降り注ぐ、ドイツでも最も過ごしやすい季節となりました。人々が、マイン川沿いのオープンテラスで語り合っています。遊覧船に乗り込む少年がお母さんらしき人の手を引っ張っています。
「早く! 早く! 先頭から見る眺めが最高なんだから!」
夢の終わりは次なる旅の始まり。その期待を胸に抱いて。
フランクフルトの2019-2020シーズン公式戦初戦は、7月25日のEL予選2回戦第1戦。ブンデスリーガクラブのなかで何処よりも早く、新シーズンがスタートします。