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「行儀のよくないプロレスラー」宣言!
棚橋弘至が味わった復帰戦の黒星。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/06/06 17:30
長い現役生活の中で慢性的な故障とどう付き合っていくのか……というのは、プロレスラーにとって永遠のテーマなのかもしれない。
いつか……「何でもあり」の棚橋に。
棚橋は前年優勝者だから、もちろん2連覇を目指すことになるが、それが今の棚橋にとっては逆に重い十字架を背負ったようになってしまったのも事実だ。それがどれだけ重い十字架で、どれだけ過酷なものになのかは想像がつかない。
優勝どころか、棚橋の肉体が悲鳴を上げて、途中欠場という非常事態さえないとは言いきれない。
では、棚橋はG1クライマックスに勝てなかったら、どうするのか。
その時の解決策はこうだ。
もう「行儀がよくない」と自ら開き直ったように宣言してしまった棚橋なのだから、何でもありだろう。
ホワイトには「過去の人」と言い切られてしまった棚橋だが、優勝者から10月までにIWGP挑戦の権利証を奪ってしまえばいいのだ。G1の優勝者には1.4東京ドームのメインでのIWGP王座挑戦試合の権利証が与えられるのだが、その挑戦権の保持者は他に名乗り出るものがいれば、1回か2回の権利証そのものの防衛戦が義務づけられている。
棚橋が、プロレスラーを続けるためにはその権利証をどうしても手に入れる必要がある。そうなったら――棚橋は手段を選ばないはずだ。
誰も考えつかないようなどんでん返しの秘策が棚橋の中にあるのかもしれない。
いや、きっとあるはずだ。
もし、本当に何もないなら……棚橋弘至は今夏のG1クライマックスで、ついに燃え尽きてしまうのではないだろうか。