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「行儀のよくないプロレスラー」宣言!
棚橋弘至が味わった復帰戦の黒星。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/06/06 17:30
長い現役生活の中で慢性的な故障とどう付き合っていくのか……というのは、プロレスラーにとって永遠のテーマなのかもしれない。
「やっとプロレスに戻って来られた」が……。
「ファンに立ち上がるところを見せたい」
棚橋はこれまで何度もそれを実行してきた。でも、次は、もしかしたら、ないかもしれない。そこまで蝕まれてしまった自分の肉体を、棚橋はより愛おしく感じるようになっていた。
「やっとプロレスに戻って来られた。ファンの期待は裏切ってしまったかもしれないけれど」
やっと、という言葉が棚橋の「つらさ」を感じさせた。
「よく頑張ってくれたオレの体。これからも期待しているから」と自らの肉体にエールを送って、棚橋はフラっと立ち上がった。
棚橋の気持ちは復帰戦の敗北にも折れてはいなかった。棚橋がまだ、プロレスラーとして戦い続ける気持ちに変わりはない。
だが、刻まれる時計は、間違いなく速度を増している。
G1クライマックスに優勝すればいい!
「チャンピオン・ベルトを狙わなくなったら引退を意味する」と言っていた棚橋はどうするべきなのか?
じゃあ、手っ取り早くベルトに近づくには具体的にはどうしたらいいか?
そう、G1クライマックスに優勝すればいい。
1カ月後にG1クライマックスが始まる。今年は米国での開催となる7月6日(ダラス/アメリカン・エアラインズ・センター)から8月12日(東京・日本武道館)までの長丁場だ。