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桃田賢斗が語る『桃田の見方』。
群雄割拠の時代を勝ち抜く術。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byYuki Suenaga
posted2019/06/09 17:00
昨年9月から世界1位の座を守り続けている桃田。今後はジャパン・オープンや世界選手権が控えている。
国を背負うことが心の張りに?
個人ではなくさまざまなものを背負って戦う団体戦のスディルマンカップでは要所でポイントを取ったときに自然とガッツポーズが出たという。一度緩んだ心の張りがようやく戻ってきたのである。
決勝で敗れた石宇奇とは昨年の世界選手権決勝、ワールドツアーファイナルの決勝など大舞台で顔を合わせ、勝ち負けを繰り返してきた。来年の東京五輪に向けても目下のところ最大のライバルである。
「中国のレジェンドと言われていた2人(林丹、諶龍)が少し落ちてきている中で世代交代しようと頑張っている選手。いろんな葛藤があって苦しいだろうけど、しっかり結果を出しているので芯から強い選手だと思う。今後も大舞台で彼とやる試合は何回もある」
守るだけでなく、恐怖を与える選手に。
石宇奇以外にも桃田が真っ先にライバルとして名を挙げたのが、同じ'94年生まれで「昔からお互いが意識し合って、認め合っている」という欧州最強のビクトル・アクセルセン(デンマーク)。他にはジョナタン・クリスティー(インドネシア)、スリカンス・キダンビ(インド)らを交えて、新しい世代の覇権争いはこれから本格化していく。
「みんな若手というような年齢ではなくなってきて、いろいろ考えていると思うし、試行錯誤をしていると思うので、これからどんどん強くなってくると思う」
その言葉は桃田自身が試行錯誤を続けている裏返しでもある。
「『ずっと打っても決まらない』だけではなくて、『ここで決めないと次に決められてしまう』というプレッシャーを相手に与えられるようになりたい。そうすれば相手のミスも増えてもっと楽にプレーができる。要所で精度の高い攻撃をしていくことができればベストだと思います」
粘りに粘って相手を根負けさせるだけでなく、積極的な守りで相手を圧して勝つ。そんなプレーが完全に身についたとき、自他ともに認める桃田の時代は始まる。