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桃田賢斗が語る『桃田の見方』。
群雄割拠の時代を勝ち抜く術。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byYuki Suenaga

posted2019/06/09 17:00

桃田賢斗が語る『桃田の見方』。群雄割拠の時代を勝ち抜く術。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年9月から世界1位の座を守り続けている桃田。今後はジャパン・オープンや世界選手権が控えている。

「長い試合は自分のペース」

「ずっとフィジカルトレーニングをしてきて、スタミナには自信がある。相手はなるべく短く終わらせようとプレーをしてくるので、ラリーが長くなったり、試合時間が長くなってくれば自分のペースかなと思います。

 その中でもなるべく自分が動かずに相手を動かしていく。それができているときは自分の思った通りに精度の高いショットが打てているとき。だから相手を動かそうとしている途中で消極的になって決められてしまったり、前後で揺さぶられながら最後に強打でサイドを抜かれてしまうのが一番嫌な展開ですね」

 相手の攻撃を手詰まりさせていくことでリズムを作り、大きな展開よりもネット際でのヘアピンショットなどでエースを取る。桃田の強さは守りの意識から始まっている。

 バドミントンの男子シングルスは林丹(中国)、リー・チョンウェイ(マレーシア)という長年頂点に君臨してきたスーパースターが年齢による翳りを見せ、群雄割拠の時代を迎えている。その中で桃田は昨年9月から世界ランキング1位の座に君臨している。

王者というよりも、挑戦する側で。

「次の柱になるのは僕らの世代の誰かじゃないかな」

 それが自分自身であるという確たる自信はまだ持っていない。ランキングの順位やポイント差は目に見えてわかりやすいが、それが正しく実力差ではないからである。

「他の選手たちはオープン大会であっさりと負けてしまうことがある。それが大舞台になると気持ちの入り方が全然違うんです。簡単に負けていた選手が大事な試合が近づくにつれてパフォーマンスが上がってくるし、フォーカスした試合にコンディションを持っていくのが上手。

 自分はできればどんな試合でも全部勝ちたいから、そこは自分のスタイルを貫くけど、誰とやっても正直結果は分からない。自分が王者というのでなく、常に挑戦し続ける側で、チャレンジャー精神は忘れないようにしています」

【次ページ】 国別対抗戦で対戦した世界2位の中国人。

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