酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
巨人・坂本勇人は“最強の遊撃手”になるか。
ポイントは打順と、前後を打つ丸と岡本。
posted2019/06/06 08:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kiichi Matsumoto
坂本勇人についてはこれまでも当サイトで紹介したことがある。日曜朝の「喝!おじさん」張本勲が、ただ一人記録しているNPB通算3000本安打に迫る打者は、坂本しかいないという内容だった。
そうなったときに、張本さんは「あっぱれ!」と素直に言うかどうか、見てみたいと思っていた。今年はさらに大きな期待感が加わった。
坂本は、高卒2年目の2008年シーズンにレギュラーに定着し、以後、ほとんど戦線離脱することなく現在に至っている。遊撃手という激務を考えればたいしたものだ。
そして常に打席がたくさん回ってくる上位の打順で安打を量産してきた。通算打率は.292とそれほど高くはないが、大きなスランプがないこともあり、30歳で1781安打を記録している。
「大型化」した坂本に、4冠の可能性。
これまでの期待感は「安打」のみに絞られていたのだが、今季は突如「大型化」した。
6月5日時点で、本塁打20本(1位)、打点42(2位)、打率.338(3位)、さらに安打数72(1位)であり、三冠王+最多安打の4冠を独占する可能性がある。
アメリカでは「強打の遊撃手」は珍しくない。遊撃手として2302試合に出場し、通算431本塁打を打ったカル・リプケン・ジュニア、2674試合に出場し、通算3465安打を打ったデレク・ジーター、さらにヤンキースに移籍後はジーターにポジションを譲って三塁を守ったが、通算696本塁打のアレックス・ロドリゲスも、マリナーズ、レンジャーズでは遊撃手だった。
ドミニカ共和国などラテン・アメリカでは、「4番で遊撃手」が野球の花形だとされる(プエルトリコは捕手が花形だが)。アメリカ大陸では、1番いい選手がショートを守る伝統があったのだ。
しかし、日本では遊撃手は「守備のかなめ」とされてきた。もちろん、強打者もいるがそれは例外的で、守備での評価が優先される傾向にあった。だから、打撃タイトルを取った遊撃手は少ない。