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平成最後の「山の神」がさらに進化。
国学院大・浦野雄平は平地でも強い。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTakashi Okui
posted2019/06/07 11:30
2019年新春の箱根駅伝5区で疾走した浦野雄平。オールラウンダーとして磨きをかけている。
花の2区での勝負にも魅力を感じる。
「今年の箱根で山のイメージは強くなったが、専門的に上りをやらせるつもりはない。どちらかと言えば、トラックが得意なので。ロードも起伏のあるクロカン(クロスカントリー)も強い。あくまで山はプラスアルファ。
いまの調子であれば、(10000m、5000mの)タイムはいつでも狙える。関東インカレの走りに手応えを感じていると思うので、2区への思いがまた強くなるかな。チーム事情もあるし、浦野の希望もある。トータルで考えていきたい」
本人は各大学のエースが集まる“花の2区”での勝負には魅力を感じている。3年時の箱根では周囲に希望の2区で走ると思わせておきながら、まさかの5区で出場。前田監督は秋の段階では本人に伝えていた。
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準備期間は十分とは言えなかったが、1月2日の山は国学院の独壇場となった。2.7km地点の箱根湯本で帝京大をとらえ、7km付近で青山学院大、9.5km付近では駒澤大を抜き去ると、1人でぐんぐんと芦ノ湖まで駆け上がった。
前年度に法政大の青木涼真(現4年)が樹立した1時間11分44秒の区間記録を大きく超える1時間10分54秒でフィニッシュ。5区には1年生時に区間賞を獲得した青木をはじめ、用意周到な上り自慢たちがそろっていたが、主役は遅れてきた男だった。
「三大駅伝すべてで区間賞を取る」
当の本人は二重三重の人垣ができる沿道の応援、メディアのフィーバーぶりに驚きながらも、「山の神」と言われてもピンときていない。むしろ、山には特別な思いを抱いていないという。「周囲の目が変わっても、自分らしく練習している」ときっぱり。箱根駅伝で総合3位以内というチーム目標達成のために、どの区間でも結果を出すことを誓う。
「三大駅伝すべてで区間賞を取る」
秋の駅伝シーズンに向けて、課題だったラストの切り替えに力を注ぎ、スピードの強化にも余念がない。
「僕にはまだ伸びしろがある。どんなランナーになるかは設定していない。自分の可能性を楽しみたい」
“山の神”の進化が止まらない。