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平成最後の「山の神」がさらに進化。
国学院大・浦野雄平は平地でも強い。
posted2019/06/07 11:30
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takashi Okui
平成最後の箱根駅伝で「山の神」と呼ばれた男は平地でも強い。
約5カ月前、山上りの5区で区間新記録を塗り替えた国学院大の浦野雄平(4年)は、5月23日から26日まで開催されていた関東インカレ男子2部の10000mと5000mでも堂々の日本人トップでフィニッシュ。ライバルを寄せ付けない力強い走りには、学生トップランナーの風格が漂っていた。
「(10000mは)気持ちも体も余裕を持って走れた。これを当たり前にしていかないといけない」
大会初日の10000mでは3月の日本学生ハーフマラソンで2位に入った駒澤大の中村大聖(4年)、青山学院大のエース、鈴木塁人(4年)らを序盤で引き離し、最後まで狙い通りのレースを展開。国学院大の前田康弘監督から「日本人で一番強いところを見せる大会にしよう」という指示を受け、ハイペースの留学生にはあえて付いていかず、スタミナ配分を考えながら日本人トップを守り続けた。
留学生に勝負を挑んで6位入賞。
当日、相模原ギオンスタジアムはスタートの17時過ぎでも気温が高く、レース中盤からへたる選手が続出。それでも、前を走る赤と黒のユニホームの男は表情ひとつ変えず、淡々とラップを刻む。
終盤にはペースをぐっと上げ、並走していた日本薬科大のノア・キプリモを8000m付近で置き去りにして4位入賞。レース後も余力が残っていた。肩で息をすることもなく、すぐに仲間と談笑。「いつもなら前の留学生にも付いて行った」と涼しい顔でさらり。
最終日の5000mは、留学生たちに日本人ひとりで勝負を挑み、6位入賞。最後は力負けしたが、今年1月の箱根駅伝を走った青山学院大、駒澤大、帝京大の実力者たちは、はるか遠く後ろにいた。