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久保建英と中村俊輔の共通点とは。
「自分を客観視する」能力の重要性。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byYoshiharu Ota
posted2019/05/30 14:00
ほとんどインタビューを受けたことがなかったとは思えないほどよどみなく、テンポよく真摯に話をしてくれた久保。
視界には、欧州の頂点が自然に入っている。
久保にも昨年、FC東京で試合になかなか出場できず、横浜F・マリノスへの期限付き移籍も経験する苦しい時期があった。
だが彼はまさに自らを客観的に省みて、試合に出るために何が足りないのかを知り、「ひとつひとつ、突き詰めた」。そして今季FC東京での主力の座を勝ち取った。新旧の天才レフティーは奇しくも同じ16~17歳に挫折を経験し、同じように克服していたのだ。
よくある話なのかもしれない。だが、何かが継承されているのかもしれない。
いずれ久保も、中村が海を渡ったように、再び海を渡るだろう。その視野には欧州の頂点も入っていることを、彼らしい慎重な言い回しで「一個ずつ積み上げていくなかで、そこに届くような選手になりたい」と言ってくれた。
そして中村ら先人たちが築いた物語を彼が超えていったとき、久保の「小説」のような人生は、新たな「伝説」となっていくはずだ。
今はまだわからない。久保が必ず夢の舞台をつかみ、成功するという保証はどこにもない。それでも、これから何年ものあいだ、我々は彼に希望を託し、夢を見続けることができる。日本サッカーに新たな天才伝説が生まれる日まで。
垣間見えた久保の実像は、そんなことを思わせてくれた。
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