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久保建英と中村俊輔の共通点とは。
「自分を客観視する」能力の重要性。 

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photograph byYoshiharu Ota

posted2019/05/30 14:00

久保建英と中村俊輔の共通点とは。「自分を客観視する」能力の重要性。<Number Web> photograph by Yoshiharu Ota

ほとんどインタビューを受けたことがなかったとは思えないほどよどみなく、テンポよく真摯に話をしてくれた久保。

ベンゲルや俊輔の教えを久保に。

 久保はインタビューで、今季の自らの成長について「試合に出場するために、何をすればいいか。一歩一歩、突き詰めてきましたし、1つずつできるようになっていこうと思っていました」と語っていた。

 そのことを伝えると中西は深くうなずいた。

「彼は自分を客観視できる。そしてそのための理論を突き詰めて、積み重ねていくことができるんです。

 僕も、これまで自分がベンゲル、ストイコビッチ、中村俊輔といったすごい人たちから聞いてきたことを建英に伝えてきました。彼は積み重ねられたJリーグの歴史も伝承して、その上に成り立っていると言えます」

 久保の人物像と、才能が今季開花しつつある要因が少しずつ見えてきた気がした。

「自分を客観視する」という共通点。

「(成長のためには)自分を客観視すること、だね」

 久保の考え方とあまりにシンクロする言葉に、ギクリとした。

 口にしたのは、中村俊輔である。中西が「その歴史を久保に伝承して」いるという先人のひとりにして、いわゆる「天才レフティー」という点でも共通点を感じる。

 同じ特集での取材。自身の才能を花開かせるためにどんな努力をしてきたか、中村に過去の思い出を訊いていたときのことだ。

 マリノスのジュニアユースからユースへの昇格が叶わず、挫折感を抱いて桐光学園に進学した高校時代の回想。現在の久保と同じ年頃の中村が意識していたのが、「客観視」だったという。

 自分に何が足りないのか。ストロングポイントは何か。ならば何を鍛えればいいのか。自らの力を客観的に判断し、そのために努力できることが成長には必要、という経験談だった。

【次ページ】 視界には、欧州の頂点が自然に入っている。

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