フランス・フットボール通信BACK NUMBER
リーグアンで圧倒的強さのPSGは、
なぜフランス国民に愛されない?
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byGetty Images
posted2019/05/31 07:30
イブラヒモビッチを始め、世界的なタレントを擁してきたパリ・サンジェルマン。リーグでは無類の強さを発揮しているが……。
フランスに本物のサッカー文化はない。
――どういうことですか?
「フランスにはイングランドやドイツ、イタリア、スペインのようなサッカーにおける本物の文化はない。そのとき強いチームを応援するだけだ。だがそのチームがひとたび勝てなくなると……。マンチェスター・ユナイテッド戦の後でスタジアムに行く気が失せたPSGサポーターが多いと聞いている。要はクラブへの忠誠心の問題だ」
――とはいえここ数シーズンのPSGは、リーグアン史上最高のチームであるのは間違いないのでは?
「パリのプレースタイルをどう定義するかは困った問題だ。ランスには確固とした独自のスタイルがあった。サンテティエンヌやOMもそうだ。だがPSGは……。
これはリーグアンだけの問題ではない。ペップ・グアルディオラのバルサ以降、突出したスタイルを確立したチームはどこにもない。かつては様々なスタイルの違いやせめぎあいがあった。
たとえばナントスタイル(ジョゼ・アリバスが確立したショートパスのスタイル)には、尊重すべきものがあった。しかし今のナントには、黄色いユニフォーム以外に何も残ってはいない。
今日では技術・戦術的なディテールの違いがすべてを決める。PSGはそのレベルでとてもよく組織され、機能している。そのうえで違いを創り出しているのはムバッペやネイマール、カバーニの個の力であり、しばらく前はズラタン(イブラヒモビッチ)の個の力だった。残念ながら……それ以外には何もないと言わざるを得ないのだからね」