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選手にとっても「人生で一度」のW杯。
ラグビー代表、当落線上の男たち。
posted2019/06/02 08:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
ラグビー日本代表のメンバーが、6月3日に発表される。7月下旬から8月にかけてフィジー、トンガ、アメリカと対戦するパシフィック・ネーションズカップへ向けたチームという位置づけだが、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が9月20日開幕のW杯を見据えているのは間違いないだろう。
メンバー入りに当確の印がついていない選手にとっては、本格的で最終的なサバイバルの幕開けとなる。
ワールドカップ出場をターゲットとする選手たちは、基本的にサンウルブズかウルフパックのいずれかで活動を続けてきた。ある者は外国人選手がチーム内にも多いスーパーラグビーで強度の高い試合を重ね、ある者は日本人の多いチームで候補合宿と練習試合を消化してきた。
カタカナ表記の名前が多いサンウルブズで、経験値を高めていったのは茂野海人だ。トップリーグのトヨタ自動車に所属する28歳は、田中史朗、流大に次ぐスクラムハーフとして、3番手を争うライバルをリードしている印象だ。
選手にとっても「一生に一度」。
サンウルブズがオーストラリアへ遠征していた5月上旬に話を聞くと、W杯については「まだそこまで意識していません」との答えが返ってきた。
「いまはサンウルブズとして活動をしているので、そのなかで自分がベストなパフォーマンスを出せるようにフォーカスしながらやっています」と言う。だからといって、W杯への思いを抱いていないわけではない。
「大会を告知するキャッチコピーとして『4年に一度じゃない。一生に一度だ』というのがありますが、本当にそうだと思います。何としても、どうしても、あの舞台に立ちたい。2017年に所属クラブを移籍したのも、そのためでもありました」
4年前のW杯は、留学先のニュージーランドで観た。ラグビー大国で州代表に選ばれるなどの充実した時間を過ごしつつ、南アフリカを撃破した日本代表に衝撃を受けた。
「自分がそこにいないことが悔しいとかいうよりも、とにかくスゴいなと感じました。日本代表のラグビーもそこまでレベルが上がってきたんだ、と」