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スカウトからは「根尾以上」の声が。
桐蔭学園・森敬斗にやきもきする。 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2019/05/24 08:00

スカウトからは「根尾以上」の声が。桐蔭学園・森敬斗にやきもきする。<Number Web> photograph by Yu Takagi

スカウトの評価が軒並み高い桐蔭学園・森敬斗。センバツでは初戦で敗れるも、3安打を記録。

仲間のミスに喝、先輩にも臆さない。

 また、野球に対するアグレッシブな姿勢でも賞賛の声が並ぶ。同校の片桐健一監督も「勝利への執着心を包み隠さず出せる選手」と評する。

 センバツではパスボールをした味方捕手に対して、グラブで胸のプロテクター部分を強く押して叱咤した。森にこの場面について尋ねると「練習中から全員に厳しくしていますし、気づいたらすぐに注意している」と平然と話した。

 今の時代だと“空気を読んで言えない”という選手も多いだろうが、「言うべきことを言えない人間はどこかで逃げていたり、楽をしたりしている部分があると思います」ときっぱり語った。

 下級生の頃から上級生にモノを申すこともあった。

「4つ上に兄がいたからですかね? 年上だろうが、変に気を遣うことはなかったのかもしれません」

 照れくさそうに話す表情には、チャーミングな一面も窺える。ただ口うるさいのではなく、こうした姿もあるからこそ、周囲から慕われてきたのだろう。

 片桐監督は「まだ子供で、そうされた方の立場とか、大人になるにつれて立場は考えていかなくてはいけません。ですから、決して良しとはしません」と厳しい言葉を寄せるが、スカウトからは「今どき、ああいうことができる子は、なかなかいないよ」と感心の声も上がっている。

切り替えられる強さ。


 失敗を成長の糧にできる逞しさも森の大きな魅力だ。

 昨秋の神奈川大会決勝で森は無安打で失策も喫し、チームは2対11で大敗。「閉会式に出たくない」とこぼすほど、悔しさを隠しきれなかった。だが、学校に戻った後に片桐監督と面談。その中で今後の森、そしてチームのあるべき姿、方向性を明確にした。

「おはようございます!」

 次の日の練習での挨拶で片桐監督は「明らかに変わった」と分かったという。これまで以上に真摯に取り組み、続く関東大会での攻守にわたる大活躍に繋げた。

【次ページ】 失敗を重ね、スイングも改良。

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