令和の野球探訪BACK NUMBER
スカウトからは「根尾以上」の声が。
桐蔭学園・森敬斗にやきもきする。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2019/05/24 08:00
スカウトの評価が軒並み高い桐蔭学園・森敬斗。センバツでは初戦で敗れるも、3安打を記録。
失敗を重ね、スイングも改良。
昨年11月の明治神宮大会では慣れない人工芝でのプレーからか3失策を記録、打っても3打数無安打。この冬は「すべてを変えよう」とさらに目の色を変えた。
守備ではノックの打球1球1球から「より速く、低く、丁寧に」と意識して行い、打撃ではインパクトまでに遠回りしていたバットの軌道を修正。より近いポイントで引き込みながらも「外の変化球狙いで内角のストレートが来ても打てるように」とスイングを改良。最初は打球が前に飛ばずファウルばかりになっても「今は結果を急ぐ時期ではない」と、ひと冬かけて自分の形ができるように構築してきた。
こうしてひと冬越えた春の目覚ましい成長ぶりは前述の活躍やスカウトの評価の通り。
「秋は雑なイメージだったけど、人は一生懸命になればここまで変われるんだと思いましたよ」とスカウトに賞賛されるほどの成果となった。
代表合宿では佐々木朗希とも対戦。
侍ジャパン高校代表の国際大会対策研修合宿では、ハイレベルな同世代の選手たちと触れ合い、日の丸をつけてプレーしたいという思いをよりいっそう強くした。
紅白戦では佐々木朗希と対戦。「今まで見たことのないようなホップする軌道」というストレートにカウントを重ねられ、最後は変化球で見逃し三振に取られた。それでも「タイミングが合っていなかったわけではないし、打てると思ったんですけど」と悔しがる表情もまた森らしい。
これだけの良い意味でのガツガツさはプロ向きとも思えるが、進路についてだけは慎重だ。
「いきなりプロの世界に行っても成功するかは分かりません。もっとレベルの高い投手と(大学で)対戦してからでもいいのかなとも思います。迷っています」
こう正直に打ち明けてくれた。