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あえて杉岡大暉と齊藤未月に厳しく。
心に響いた湘南チョウ監督の親心。 

text by

林遼平

林遼平Ryohei Hayashi

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photograph byJ.LEAGUE

posted2019/05/23 11:00

あえて杉岡大暉と齊藤未月に厳しく。心に響いた湘南チョウ監督の親心。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

各世代別代表でメーンキャスト候補の(左から)齊藤未月、杉岡大暉、鈴木冬一。チョウ監督の厳しい言葉に応え、日々成長を果たしている。

監督に聞いた言葉の真意とは。

 数週間後、改めて会見で語った言葉の真意を尋ねてみた。

「彼らはまだ若く、チームを勝たせていくためには自分たちが先頭になって一番ハードワークなどをしなければいけない立場なのに、ちょっとしたミスに対しての悔しさに安易な感じが見て取れた。『まぁ、いいだろう』みたいな感じです。

 全体的に試合に出ている緊張感が薄れてきたなと思っていたし、極端に言えば、このリーグでチームが負けても自分たちは評価を受けている。その評価の中にいれば何となくいいだろうみたいに感じているなら嫌だなと思って言いました」

 2人が、自分の立ち位置に落ち着いているように見えた。まだまだ成長するためにチャレンジしていかなければいけない、自分を律しながら常に上を目指さなければ世界の選手には追いついていけない。現状に慣れてしまっているように感じた指揮官は、もう一度自分たちの状況に気づかせる意味であの言葉を口にしていた。

2人をしっかり見ているからこそ。

 杉岡は素直に指揮官からの指摘を受け止めていた。A代表や東京五輪代表の候補として名前が挙げられ、テレビやネットを見ればすぐに自分のニュースやコメントを見つけられる。自身が変わったという認識はないが、周りの見る目が変わったことで自分のことを見失っていたのかもしれない、と。

「“五輪世代”とチヤホヤされているといったらそうですけど、チョウ監督はしっかりと自分たちを見てくれている。本当にありがたいというか、そういうところに向き合えていなかったのは事実だし、今回言われて気づけたと思います。

 周りは周り。自分のやることをブレずにやり続けたいと思う。そういう態度を見せていたらすぐに指摘されるし、本当に真摯に向き合えるチームだと思います」

 一方、チョウ監督は成長著しい齊藤に対して杉岡とは違ったスタンスで、正直な思いを伝えたと言う。20歳ながらチームの中心としてプレーできている、ということに満足して欲しくない。

 たとえば、川崎戦で存在感を見せていた同世代のライバルの名前を出し、考えを改めるきっかけを与えている。

「未月には正直に『(川崎の)田中碧の方が今日は良かったよ』と言った。『負けているよ、俺からしたら、と』。勝っているみたいな顔をしないでくれよ、という話をしました」

【次ページ】 齊藤は悔しさの中に何を思ったか。

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