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あえて杉岡大暉と齊藤未月に厳しく。
心に響いた湘南チョウ監督の親心。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/23 11:00
各世代別代表でメーンキャスト候補の(左から)齊藤未月、杉岡大暉、鈴木冬一。チョウ監督の厳しい言葉に応え、日々成長を果たしている。
齊藤は悔しさの中に何を思ったか。
今季の齊藤はひとつひとつ壁を乗り越えながら前に進んできた。これまで以上に出場機会が増え、「やっぱり試合に出ないとわからないことがすごく多い」といろいろなものを吸収。3月にはAFC U-23選手権予選に挑むU-22日本代表にも選ばれるなど、順調にキャリアを積み重ねている。
そんな矢先に言われた言葉。「単純に悔しかったですけど……」と語りながらも齊藤は前を向く。
「チームも負けたし、個人的にも負けというのを認めて、次に進まなければいけないなというのをチョウさんと話して感じました」
自分がダメだったことを認める。そう考えることで、次の試合はより良くすることに全力を注ぐ。さらなる成長に必要な鍵は、自分自身にあると齊藤は説く。
「試合に出続けるのに、波があってはいけないなと感じている。1試合良くて、1試合ダメで、また次良くて、その次はダメ……というのは、監督にとってすごく使いづらいだろうなと。だからこそ、自分の良さやチームがやろうとしている土台を出し続けることで、そういう波がなくなってくるのではないかと感じている。やっぱりプロサッカー選手ですし、落ち込むのではなく、次につなげることが大事なんじゃないかなと思います」
「変わったと思う。メンタルは大事」
齊藤は23日に開幕するU-20W杯に挑むU-20日本代表に選ばれ、キャプテンの役割も任されている。短い期間で多くの試合をこなさなければいけない大会だからこそ、この経験を糧にしようとしている。
「もちろん全部勝つのがベストだけど、そんなにうまくはいかないと思う。そこで1試合の負けに落ち込んで、次の試合に引きずってしまうのは良くない。みんなわかっていると思うけど、そういう意味では波を作らないことは大事になってくると思います」
あの会見から時が過ぎ、「変わったと思うよ、メンタルは大事だから。そこから2人とも良くなった」と明かすチョウ監督のもと、杉岡は浦和レッズ戦での“伝説の逆転劇”に一役買った。
そして23日には、齊藤がU-20W杯でエクアドルとの初戦に臨む。今季のターニングポイントをきっかけにどんな成長を遂げているのか。
世界の舞台で湘南の誇りを胸に闘う男の飛躍に期待したい。