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全米プロ連覇で完全優勝のケプカ。
人生が詰まった「心の逆転優勝」。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byAP/AFLO

posted2019/05/21 10:30

全米プロ連覇で完全優勝のケプカ。人生が詰まった「心の逆転優勝」。<Number Web> photograph by AP/AFLO

全米プロ連覇を達成したブルックス・ケプカ。4日間首位を守り続けた完全優勝だったが、決して平坦な道のりではなかった。

欧州の下部ツアーで鍛錬したケプカ。

 悪い流れや状況を自力で好転させていく。ピンチをチャンスへ変えていく。そういう試み、そういう努力を、ケプカは昔から行なってきた。

 その始まりは、まだフロリダ州立大学の学生だった2012年。アマチュアにして全米オープンに出場し、無残に予選落ちしたケプカは、その直後にプロ転向を決意した。プロになったところで戦える場所はなかったが、自分自身を鍛えるために単身で欧州へ渡り、下部ツアーに挑む鍛錬の旅を開始した。

 プロ初優勝はツアー8戦目。大きな自信を得たものの、以後は「いい日も悪い日もあった」。

 欧州ツアーの開催地は、欧州各国のみならず南アや東南アジアなど世界各国に広がっている。試合のたびにコースのレイアウトも難度も芝も天候も目まぐるしく変わり、時差もあれば、飛び交う言語もフードも文化も習慣も、何もかもが異なる。

 そんな日々を過ごしながら、ケプカはどんな状況にも適応できる力を身に付けていった。

「アメリカに帰りたい」と嘆くことも。

 心が落ち込み、すべてを投げ出したくなったこともあったという。マネージャーに電話して「アメリカに帰りたい」と駄々をこねたこともあったそうだ。

 だが、それでもケプカは翌日に試合会場へ行き、勝利を挙げて欧州ツアーメンバー資格を獲得。そうやって心の限界まで頑張り、踏ん張ったからこそ、その先で報われる喜びや達成感を知ることができた。

 そういう歩みのすべてが、ケプカの心を鍛え、磨き上げていった。人生の歩みにおいて醸成された強いハートがあったからこそ、ケプカは今年の全米プロ最終日、ジョンソンに1打差まで詰め寄られたピンチを撥ね除け、「心の逆転優勝」を収めることができたのだ。

【次ページ】 昨年、脳裏に過ぎった「引退」。

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#ブルックス・ケプカ
#ダスティン・ジョンソン

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