躓いても、転んでも、走り続ける。

　今年4月、マスターズ初制覇に手を伸ばしたものの、残念ながらグリーンジャケットはタイガー・ウッズに持っていかれた。

　しかし今回の全米プロでは、最終日のバック9で陥った窮地から見事に自力で脱し、勝利を挙げることができた。それは、ケプカのこれまでの人生の歩みがもたらした力の賜物。人生の歩みの中で鍛えられ、生み出された彼の強い心のおかげだった。

　そしてケプカは、自身の人生を「歩んでいる」のではなく「走っている」と感じている。

「この2年、自分の走りをとても楽しんでいる。この走りを止めたくない。止めないようにしたい」

　躓いても、転んでも、走り続ける。走り続けることで、ピンチを乗り越える力が生まれ、だからどんな窮地も乗り越えられる。

　そうやって達成されたケプカの全米プロ優勝は、完全優勝でありながら「心の逆転優勝」だった。

　私は、そう思っている――。