イチ流に触れてBACK NUMBER
野球人から料理人イチローさんへ。
「包丁を持つことが大きな前進です」
posted2019/05/21 08:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Kyodo News
バットを包丁へ持ち替えたイチローさん。
今回はそんな「包丁人イチローさん奮戦記(?)」を紹介したい。
その前にまずは近況から。
イチローさんは、令和を迎えると同時にマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターに就任した。本拠地Tモバイル・パークでの試合前はインストラクターとしての職務に励む日々を送っているが、コーチ役となっても自身の準備は現役時代と変わらない。
初動負荷理論の特殊マシンで体を動かす入念なウオームアップから始まるコーチ役は彼をおいて他にはいない。デモンストレーションを求められた際の備えであるが、その動きはまるで現役選手そのものだ。
打撃練習ではケージの後ろから選手のスイングをじっと見つめている。その場でアドバイスを送ったり、バットを持つことはここまで一度もない。
意見を求められた際に的確な言葉を送るための準備期間と言えばいいのだろうか。役回りが変わっても、イチローさんにとって備えることの重要さは変わっていない。
球場にやってくるときはいつ?
ファンの方もそんなイチローさんの姿を目にすることができる。
試合開始約2時間前の開場と同時に球場へやって来れば、フィールドにはイチローさんがいる。
さらに、打撃練習終了後には連日一塁側ベンチ前で即席サイン会も開かれる。気さくにサインに応じるその表情は柔和そのもの。記念撮影のチャンスだってある。
ただし、ひとつだけ頭に入れておかなければいけないことがある。試合前の打撃練習がなければ、イチローさんは球場にやってこない。ナイター明けのデーゲームはかなりの確率でそれに当たるし、前夜の試合が延長戦になるなど、試合が遅い時間にまで及んだ翌日も打撃練習はキャンセルされる。
その辺りをしっかりと調べた上で来場すれば、イチローさんに会える機会に恵まれる。