フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
グレイシー・ゴールドが回復中。
摂食障害からの復帰を巡る道。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2019/05/19 11:30
ITNYの公演で顔を見せたグレイシー・ゴールド。左はゲスト出演したミーシャ・ジー。
摂食障害の治療で1シーズン休養。
その3カ月後、2017年全米選手権で6位に終わった直後にコーチのフランク・キャロルがマスコミの前でコーチ辞任を宣言。カリフォルニアを引き上げてシカゴに戻ったゴールドは、鬱と引きこもり、摂食障害に陥ったのだという。
翌シーズンはGPシリーズ、全米選手権とも欠場し、「自分の鬱と摂食障害の治療に専念する」と宣言した。もちろん平昌オリンピックを目指すなど論外だった。
「もともと自分は性格的に完ぺき主義者のところがありました。この性格が、これまで多くの成功ももたらしてくれた。でも歯車が狂い始めたとき、それまで当たり前だったことすらできなくなった自分が許せなかった。自分が恥ずかしく、他の人たちと一緒にいるのが苦痛でした」
「ロステレコム杯は自爆に行ったようなもの」
2018年の春にリハビリを終えたゴールドは、少しずつ氷の上に戻り始めた。それを自分のSNSで告白したとき、サポートのメッセージの多さに驚いたのだという。
2018年11月には復帰戦としてロステレコム杯に挑戦したものの、SPで最下位になった後フリーは棄権した。だが思い返せば、もともと無謀な試みだったという。
「実はあの大会は、是非出なさいと強く勧めてくれる関係者がいて出場しました。でも私のコーチチームは、とても現実的ではないと思っていた。実際のところ、自爆しに行ったようなものでした」と苦笑する。
「あの後コーチたちと話し合い、これからはまず身体を戻すこと、そして体力と技術を戻すこと。そして試合に戻るのは、本当に自分たちが準備ができたと思うまで待つことを決めたんです」
2年間のブランクを埋めるため、まずオフアイスの基礎体力作りから始めていった。
「自分のアイデンティティはアスリートでした。でも鏡を見たら、そこにいるのはアスリートではなかった。そのことがつらかった。そしてアスリートというのは基本の部分で、そこからさらにフィギュアスケーターとしての体型を取り戻さなくてはなりません。私たちは現在、そこに向けて努力をしているのです」