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長谷部誠がELで得た成長への欲望。
「今日の試合は特別な1つでしたね」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2019/05/10 18:20
ELは、長谷部誠にとっても大きなインパクトだった。来季のCL、EL出場権をかけてリーグ戦ラスト2試合に臨む。
代表を引退して、純粋な勝負のシーズン。
1984年生まれで現在35歳の長谷部にとって、今季は特別なシーズンだった。
日本代表を引退して、クラブでのプレーだけに専念した。少しでも体力的、精神的な負担を減らして先々のことを考える時期にさしかかったようにも見えたが、実際はそうではなかった。
長谷部は今季を「純粋に選手としての評価が問われるシーズン」と位置づけていた。代表の負担、負荷がなくなった分欧州でどこまで勝負できるのかと自分自身に問いかけ、結果を求めるシーズンだったのだ。
シーズン序盤のほんの短い時期こそ出場機会を失ったが、ポジションを取り戻してからは絶対的な信頼を置かれる選手として蘇った。ヒュッター監督はあえてこちらが問わなくても、長谷部の名前を挙げて讃えることもあるし、多くのメディアでもキャリアハイという表現も使われる。
この年齢で、EL準決勝という舞台で、決勝まであと一歩と迫ることができたのも、そんな長谷部の覚悟があったからだろう。
キャリアでもなかなかない、特別な1試合。
そして、こうも言った。
「もっともっとこういうのを経験したら、まだまだ成長できるんじゃないかなという感覚はあるんですけど。もちろん、大きな試合はこれまでもたくさんありましたけど、今日の試合は、それはそれで特別だった。もっとうまくなりたいなと思える試合はなかなかないけど、その1つでしたね」
結局、長谷部のミックスゾーン取材が終わるまで、強い雨に降られることはなかった。その意味では運がよかったようだ。
まだまだ長谷部が、戦いをやめることはなさそうだ。