松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
修造、ゴールボール・天摩由貴の
「生粋の負けず嫌い魂」に感服!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/05/12 08:30
ラインテープの前で、ポジションをとる2人。テープの下には糸が通してあり、手で触ってもラインがわかりやすいようにしてある。
「負けず嫌い由貴」がでてきた。
松岡 当たり前ですよ、代表なんだから。由貴さんはそれまで陸上しかやってきてないわけでしょ。
天摩 それはそうなんですけど、なんで私はボールも取れないし、投げる球は遅いし、あんな風にプレーができないんだろうって。そしてまた、ここで負けず嫌いの気持ちに火がつくんです。
松岡 キター! 「負けず嫌い由貴」がでてきた。
天摩 そうなんです(笑)。下手くそな自分が悔しくなって。私もこのくらい上手くなりたいって思ったんです。そこが運命の分かれ道というか、私の人生、「負けず嫌い由貴」が出てくるかどうかで進路が決まっていくんです。
松岡 そうなんだ(笑)。
天摩 私の人生を変えるのは、いつも負けず嫌いであること。陸上を始めたのも負けたのが悔しかったから。ゴールボールを始めたのも、悔しさを味わったから。
松岡 じゃあそのとき練習に参加していた日本代表の選手には大感謝をしないといけないですね。
天摩 してます。今もチームメイトとして一緒に練習しているので。
もちろん本当に感謝していますよ。
松岡 今聞いていて思ったんですけど、天摩さんを、最初にそこに連れていった人がすごいですよ。陸上しかやってこなかった由貴さんをつかまえて、いきなり日本代表クラスもいる練習場に連れていった。きっと負けず嫌いの性格を知っていて、こうなるとわかっていたんじゃないですか。
天摩 そこまで計算されていたんだとすると、私は悔しくて仕方がないです。
松岡 どうして! 良いじゃないですか。
天摩 なんかハメられたような気がしませんか(笑)。もちろん感謝はしてますよ。盲学校でお世話になった先生で、先生が連れていってくれたおかげで今こうしてゴールボールをやれているわけですから。陸上を辞めて1年ちょっとの間、振り返るとあまり目標も見つけられずに生活をしていたんですね。生活の中に刺激がないというか、なんとなくつまらなくなってきていて、そうしたときに誘ってもらって、また新たな目標を見つけることができた。それは本当に感謝しています。