松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
修造、ゴールボール・天摩由貴の
「生粋の負けず嫌い魂」に感服!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/05/12 08:30
ラインテープの前で、ポジションをとる2人。テープの下には糸が通してあり、手で触ってもラインがわかりやすいようにしてある。
私は障害と共に生きてきたから。
負けず嫌いな性格は、優れたアスリートが備える大事な資質のひとつだが、天摩さんのそれは生粋のものと言えるだろう。幼少期の負けず嫌いなエピソードについて訊ねると、こんな答えが返ってきた。
天摩 とにかく駆けっこだったら隣の人には負けたくないし、テストの点数も人より高くないと嫌だし、負けるのが嫌いなんです。これがまた年の差もあまり関係なくて、お姉ちゃんともしょっちゅう競い合ってました。
松岡 その性格が障害を乗り越える糧にもなってますか。
天摩 私にとっての障害は、乗り越えたものではなくて、共に生きてきたもの。病名は網膜色素変性症といって、私の場合は中途失明とかではないので、生まれたときからあまり見えないのが当たり前なんです。障害があって当たり前の世界に生きてきたので、ぜんぜん乗り越えた感じではないんですね。
松岡 でも、なぜっていう思いはないんですか。なぜ私なのって。
天摩 それはいまだに思います。なんで私の目は見えないんだろう。もうちょっと見えてくれたら良いのにって。でも、これはいくら考えてもしょうがないことなんですよ。いくら思っても見えるようにはならないので、深く考えたりはしないです。
(第4回に続く/構成・小堀隆司)