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“アルゼンチンの英雄”メッシ39歳が銀メダルを外さなかった「大きな意味」…6度目のW杯を”Yapa(おまけ)”と位置付けるも、歴代最多得点で主役に
posted2026/08/03 17:01
39歳にして8得点4アシストの驚異的な数字を遺したメッシ
text by

藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph by
Kiichi Matsumoto / JMPA
発売中のNumber1148号に掲載の[涙の真相]メッシ「誇らしき銀メダル」より内容を一部抜粋してお届けします。
メッシがW杯銀メダルを外さなかった“大きな意味”
完敗だった。それでも、アルゼンチンのサポーターは試合後も歌い続けた。
リオネル・メッシは頬を伝う涙を拭うこともなく、その光景をじっと見つめていた。首から下がるのは、準優勝の銀メダル。彼がこのメダルを外すことなくピッチを去ったことには、大きな意味があるのだ――。
今回、自身最後となるW杯で決勝を戦ったのがメットライフ・スタジアムだったことは、ある種の運命だったのかもしれない。この会場には強烈な思い出がふたつある。
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ひとつは2012年6月9日、ブラジルとの親善試合で4-3の勝利をもぎ取った時の歓喜。大接戦となったあの試合で、メッシは代表での2度目となるハットトリックを達成し、なおも懐疑的な視線を向けていた母国の人々を黙らせた。
もうひとつは'16年6月26日、コパ・アメリカ・センテナリオ決勝でチリに敗れた屈辱。あの日、PK戦でも失敗したメッシは憔悴しきった表情でミックスゾーンに現れ、突然代表引退を宣言した。
「これで4度目の決勝敗退だ。しかも3年連続だなんて本当に悔しい。僕たちは全力を尽くして勝とうとしたけれど、もう終わった。今、頭の中にある考えはただひとつ、僕にとっての代表チームは終わったということだ。僕が身を引くことを望んでいる人はたくさんいると思う。決勝まで辿り着くだけでは満足できないだろう。それは僕たちも同じ気持ちだ」
当時アルゼンチン国内では代表への批判が高まっており、キャプテンとしてあと一歩でタイトルを逃し続ける現実に、メッシは誰よりも責任と重圧を感じていた。
歓喜と絶望。その両方の記憶が刻まれた会場が、今大会の決戦の舞台となった。
6度目となるW杯を“Yapa”と表現していた
昨年11月、スペインメディアのインタビューで今大会への出場の可能性についてメッシは、「チームの足を引っ張りたくない」と率直な心情を漏らしていた。12月にはアメリカメディアの取材に応じ、「出場できたら本当に嬉しい。できなくてもスタンドで生観戦したい」と語っている。
また別の機会には、自身にとって6度目となるW杯を“Yapa(ジャパ)”とも表現している。Yapaとは南米の先住民ケチュア族の言葉で「付け足し」を表し、アルゼンチンでは「おまけ」を意味する。'21年コパ・アメリカで母国に28年ぶりとなるタイトルをもたらしてプレッシャーから解放され、'22年W杯で優勝、'24年にはコパ連覇を達成した彼にとって、今大会は本来、そうした位置付けになるはずだった。
ところが、そんな慎ましい自己評価は、開幕すると一瞬にして意味を失った。アルジェリアとの初戦でハットトリックを達成すると、続くオーストリア戦でも2ゴール。ベンチスタートとなったヨルダン戦では1点差に迫られた60分から投入され、80分に直接FKから3点目をもたらして試合を決定づける。グループステージを3戦全勝で突破したアルゼンチンを躍進させたのは、紛れもなくメッシだった。
だが、これも序章に過ぎなかった。
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