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Vリーグ連覇に貢献、次は代表で。
“8時半の女”石井優希は強くなった。

posted2019/05/08 15:00

 
Vリーグ連覇に貢献、次は代表で。“8時半の女”石井優希は強くなった。<Number Web> photograph by Naoki Morita/AFLO SPORT

久光製薬の連覇に貢献した石井優希。東京五輪に向け、確かな「自信」を得た。

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Naoki Morita/AFLO SPORT

 バレーボールのシーズンは長い。

 昨年10月に開幕したVリーグを終えたばかりの4月、今度は国際大会に向けた代表シーズンが始まる。

 4月24日。今季の女子バレー日本代表選手が一堂に会し、記者会見の壇上で今季の決意を述べる。初選出の選手が少し表情を強張らせる中、短い言葉の中にこれまでとは異なる変化を感じさせる選手がいた。

 ウイングスパイカーの石井優希だ。

「積み重ねてきた経験を自信に変えて、代表シーズンを戦い抜きたいです」

 文字にすれば何気ない、当たり前の一言。だがそこに含まれた「経験」と「自信」。それは紛れもなく、今季の石井が手にした新たな武器だった。

大事な局面での脆さ。

 最後の一本を決める度胸と、強靭なメンタルがない。頭が真っ白でブロックが見えなくなった。サーブレシーブで崩されて、自分を立て直すことができない。Vリーグでも日本代表でも、石井の口から何度もそんな言葉を聞いた。

 2011年から日本代表に選出され、世界選手権やワールドカップ、リオ五輪にも出場した。久光製薬でも7年連続ファイナル進出('17-18シーズン時点)を果たし、ウイングスパイカーとしてコートに立ち続けたキャリアは十分だ。

 だが、大事な場面で脆さが生じる。

 どれだけ活躍しても石井が堂々と胸を張れずにいた、トラウマとも言うべき経験が'14-15シーズンのファイナル、NECとの決勝戦だ。

 レギュラーラウンドから勝ち続けた久光製薬が優勝候補の大本命。しかし、挑戦者に失うものはない。圧倒的に久光製薬が有利と思われる状況の中、下馬評を覆し、勝利したのはNEC。そして、その試合で敗因をつくったのが石井だった。

「それまでの試合でもサーブで狙われることはありました。でも最初から最後まで、とにかく徹底して狙われ続けたのはあの試合が初めて。私、1つのことを考え始めるとそこだけに頭が行ってしまうんです。サーブレシーブが返らない、また崩れた、どうしよう、どうしよう、って。サーブレシーブがダメならスパイクで頑張ろう、と思うのに、そこも決まらないから余計に焦るし、頭が真っ白になる。

 3連覇がかかった大事な試合だったのに、自分のせいで負けた。すごく苦しかったし、今でも忘れられないです」

 ただ、その一戦は後の石井にとって、大きな転機にもなった。

【次ページ】 「大事なのは失点しないこと」

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