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「本当に投手に有利の球場ですか?」
菊池雄星の疑問と本塁打急増の理由。
posted2019/04/28 17:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Kyodo News
「本当にシアトル(T-Mobile Park)って投手有利の球場なんですか」
笑いながら、半分冗談交じりの表情ではあるものの、今季からマリナーズでプレーする菊池雄星が聞いてきた。
本拠地、T-Mobile Parkは海抜ゼロメートル地帯の埋立地にあり、海からの湿気を多く含んだ風が入り込む。加えて、4月は雨が多い上に気温が上がらず、ナイター観戦ではダウンジャケットが必需品。ボールが飛ばない条件は揃い、外野も広いことで知られる。
なのに、である。今年は自軍打線が開幕から20試合連続本塁打のメジャーリーグ記録を打ち立て、投手陣は本拠地12試合で14本塁打を喫した。
印象的だったのが、3月29日に菊池がメジャー初本塁打を許した場面。レッドソックスの4番ザンダー・ボガーツに91マイル(約146キロ)の直球を左翼席最前列に運ばれたのが、球場内に響き渡った音は快音でなく「グシャッ」という鈍い音だった。
当初、菊池は「これがメジャーのパワー。甘いカウントボールは簡単にスタンドへ運ばれる」と、レベルの高い打者との対戦に闘志をかき立てられていたが、最近はちょっと感じるところも違うようだ。
マイナーでは3Aだけで急増中。
そんな折り、米国の野球専門誌「BASEBALL AMERICA(電子版)」が4月18日、こんな数字をリポートした。
今季から3Aに限って、中国製のマイナー使用球からメジャーと同じのコスタリカ製の使用球に変更したところ、本塁打が急増しだしているという。記事では、開幕から約2週間のマイナーリーグでのデータを収集。昨季との違いを比較した。
3A 35.2%増
2A 14%減
1A+ 14.6%減
1A 16%減