球体とリズムBACK NUMBER
鮮烈FKを突き刺すCB福森晃斗は、
札幌のミハイロビッチか、俊輔か。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/27 11:00
フロンターレを経てコンサドーレの一員となった福森晃斗。キャリアの充実期を札幌で迎えている。
点と点が合えば守備を無力化できる。
Jリーグ公式サイトによると、福森は2017年のJ1で直接FKから3得点を挙げており、サガン鳥栖の原川力と並んでそのシーズンのトップスコアラーとなった。昨季は第25節のヴィッセル神戸戦で、敵が壁を作っている間に主審の笛が鳴り、間隙にボールを流し込んだ。
またこの試合では、きれいなループパスで都倉賢のゴールをアシストしている。もちろん、どちらもその特別な左足から放たれたものだ。
横浜戦のゴールはそれ以来のものだったが、前節のセレッソ大阪戦ではCKから進藤亮佑の決勝点をお膳立て(また偶然にも桐光学園の後輩にあたる17歳の逸材、西川潤がJ1デビューを飾った試合だ)。今シーズン初アシストを記録したことで福森の左足の感覚は高まり、翌節のゴールにつながったのかもしれない。
湘南ベルマーレとの今季開幕戦の後に、本人からセットプレーのキッカーとしてのこだわりを聞いた。すると、次のような答えが返ってきた。
「もしチームの流れが悪くても、FKやCKでそれを変えることができます」と藤沢市出身の26歳は淡々と話した。
「良いキックを蹴って、点と点が合えば、強力なディフェンスも無力になりますよね。あるいは、ひとついいのが決まれば、流れをぐっと引き寄せることもできます。だからセットプレーはすごく重要。チームに勢いをもたらせるようなキックを蹴ろうと心がけています」
「参考にしているのは俊輔さん」
1978年生まれの僕らの世代には、左利きのCBで名うてのフリーキッカーといえば、どうしてもミハイロビッチが思い出される。そう尋ねると、「観たことがないので、ちょっとわからないです」と回答。その代わりに絶対的な憧れの存在への想いを口にした。
「一番参考にしているのは、高校の大先輩の中村俊輔さんです。(ジュビロ)磐田と対戦するときは、本当に色々と参考にさせてもらっています。FKを一番決めている選手ですからね(J1歴代最多の24ゴール)。小さい頃からずっと憧れていて、それは今も変わりません。いつか追いつきたいと思いながらやっています」