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神戸の“教材”を手にU-20W杯へ!
郷家友太の解答用紙は埋まる?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/04/25 11:15
イニエスタらトッププレイヤーのもとで技術を磨く郷家友太。千葉合宿ではFWとして起用された。
千葉合宿で試された“FW郷家”。
彼はようやく解答用紙を1枚、手にすることができた。千葉合宿の全日本大学選抜との練習試合で郷家は2トップの一角としてスタメン出場。後半には2シャドーに入るなど、神戸とは違う2つのポジションで90分間フルに戦った。
「FWは1番やりたいポジション(トップ下)に近かった。試合勘が鈍かったけど、楽しかった」
立ち上がりこそ、動きが固かったが、徐々に本来の豊富な運動量と正確なボールキープからのパス、そして183cmの高さを生かしたヘッドで、前線の起点となり始めた。
23分にはMF安部裕葵からのスルーパスに反応し、ペナルティエリア内に侵入すると、ファールで倒され、PKを獲得。安部の先制点を導いた。
「サイドバックがボールを持った時に斜めに入って顔を出したり、DFラインから蹴ったボールを僕が頭で落としてチャンスを作ることを意識した」
それ以降も前線で起点となってチャンスメークをし、ゴールに迫った。終盤は少し運動量が落ちてしまったが、攻撃の要所としてプレーし続けた。
郷家の高さは重要なオプションに?
そもそも、彼のFW起用は、U-20日本代表を率いる影山雅永監督にとっても重要なトライだった。今回のチームは前線に小柄な選手が多く、高さと強さを発揮できる選手は少ない。特に今回の合宿でそれを兼ね揃えたのは本来はMFの郷家しかいなかった。
本戦メンバーにはもう1人、高さのあるポストプレーヤーが入ってくることが予想されるが、サイドハーフ、シャドー、ボランチもこなせる郷家がFWに入るオプションが確立されれば、チームにとって大きなメリットとなる。彼が出した解答用紙は、影山監督にとっても採点しがいのあるものだった。
「僕はどちらかと言うと真ん中で受けたい。そこからだと360度の視野を確保できて、首を振って周囲を確認することができる。相手が来ているのがわかるのでワンタッチで叩いたり、ドリブルも仕掛けられるので、本当に楽しかった。シャドーをずっとやっていた高校時代を思い出しました」
ボールを簡単に失わず、前線でタメを作る。高さを生かして落としたボールを、スピードと技術に溢れた選手たちが前向きで受ける。さらに裏に抜けることも、前線でのパス回しにも関与できる。
FWとしてのスペックは高い。それは彼の才能だけでなく、これまでの学びの成果であり、答えの1つである。