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チームも選手も変えた名将。
日本バレーにささげた6年間。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJapan Volleyball League Organization
posted2019/04/23 17:00
退団セレモニーでイゴール(左)とともに笑顔を見せたアンデッシュシニアヘッドコーチ(右)。就任3年目に優勝に導くなど、チームの躍進の立役者に。
代表チームには愛のある苦言も。
アンデッシュ自身も、他チームの変化を感じていた。
「豊田合成が変わったことで、他のチームも変わったと思う。以前よりも多くのコンセプトを持ち、より戦術的になった。特にブロックとディフェンス、サーブ。ほとんどのチームは、6年前のチームが今のチームに勝つことは不可能だと思う」
一方で、日本代表については、「不幸なことに、日本代表はまったく変わっていない。考え方が変わっていない」と手厳しかった。
「日本はヨーロッパやアメリカ、ブラジルをコピーしているだけでは、ノーチャンスだ。1人1人が小さいのだから、大きいチームと同じようにプレーしていては可能性はない。日本は独自の戦い方を見つけることでしかチャンスは見出せない。
毎年、目先のこと、短期間のことしか見ていない。それでは決して何かを変えることはできない。もっと先を見なければ……。監督が代わるたび、何をするんだろうと見てきたが、何も変わらない。時々メンバーが変わるだけでスタイルは同じだ」
「日本は新しいことを」
現在の日本代表は、中垣内祐一監督のもと、主にフィリップ・ブランコーチが戦術面を担当しているが、アンデッシュはこう分析する。
「ブランコーチも、伝統的なこと、ノーマルなことをしているだけで、新しい考え方ではない。今は他国のコピーでしかない。日本は新しいことを考え出さなければ。ただ、それは世界的な問題でもあると私は思っている。どのチームもほとんど同じようなプレースタイルになっており、身長の高いチームが勝つという流れになってしまっている」
具体的には明かさなかったが、アンデッシュの頭の中には様々なアイデアが浮かんでいるようだった。
もしもアンデッシュが日本代表を率いていたら、世界とどのように戦ったのか、心底見てみたかった。