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ユース出身選手の帰還を実現させた、
Jクラブと大学が結んだ10年間。
text by
平野貴也Takaya Hirano
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/16 07:00
大学と湘南を経て、今季“古巣”に戻ってきたMF石川俊輝。大宮アルディージャは育成年代でも好成績を残すなど、強化が実を結び始めている。
石川は育成選手たちの希望。
大宮にとって石川の台頭と帰還は、東洋大と提携し、より多くの選手に目を配り、可能性を広く与えたことのひとつの成果だ。
今季のJ2開幕前、オレンジのユニフォームを身にまとい、本拠地のNACK5スタジアム大宮でファン、サポーターの声援を受けてプレシーズンマッチを戦った石川は、当たり前のことを聞かないでほしいと言わんばかりに「そりゃ、張り切りますよ」と笑っていた。
彼の姿は、育成年代の選手にとって希望にもなる。
石川は「ジュニアユースやユースでくすぶっていても、エリート街道を通っていない選手でも、表舞台に立てる可能性があるということを、僕は示していかないといけない。誰がどこで見てくれているか分からない世界だから、試合に出られないときの練習や、練習試合で腐ってはいけない。まだ目標となるレベルにはなっていないけど、そういう道を示していけるように頑張りたい」と覚悟を示した。
ユースから昇格できなかった選手が、即戦力に成長して帰ってきた。その背景には、クラブ、選手の双方が可能性を捨てずに追い続けてきた軌跡がある。