代表デビュー戦大活躍も、ミスはあった。

　その2週間半後、モンテネグロでの代表戦初先発が、国内各紙で10点満点中8点の高評価と共に讃えられることになる。

　だが、これがトップ4争いで取りこぼしが許されないリーグ戦だったら、あるいはEL決勝トーナメントの一戦だったら……。モンテネグロの先制点につながったハドソン・オドイの中途半端な守備を無視するわけにはいかない。

　反面、失敗にもめげずに果敢に攻め込み続けた姿勢は頼もしい。この点では格下相手のFAカップや、後半に疲れた相手を前に快速の威力が増すリーグやELでの途中出場が自信を高める助けになってもいたはずだ。

　そうやって、当初の予想を超えるペースで成長を続けるハドソン・オドイの様子をじっくり観察してきたサッリは、カップ戦の影響で延期されていた一戦、4月3日のブライトン戦を先発起用のチャンスと判断したに違いない。

目に見える成長の跡。

　ハドソン・オドイは、監督から「いつも通りに自己表現すればいい」と言われてプレミア初先発に臨んだという。

　実際、前線右サイドで立ち上がりから生き生きとプレーしていた。38分には、ボックス内で対峙したMFアントニー・ノッカートを楽々とかわして先制アシスト。その8分後、アザールがチップキックでクロスを放った場面、力みすぎて思い切り空振りしたシュート失敗は18歳のご愛嬌といったところだ。

　試合後のサッリは、「絶好機を逃した（笑）」と冗談交じりに注文をつけたが、より身になる注文を試合中に与えてもいる。77分の指示がその一例。後方が手薄になっていた局面で前線に上がろうとしたウインガーに向かって「そのまま！」と叫び、DFが持ち場に戻るまでハーフウェーライン付近に留まらせた。

　終盤に守備の意識を喚起されたハドソン・オドイは、選手交代に伴って逆サイドに回っていた後半ロスタイム中、自軍ボックス内へのチェイシングとボール奪取でブライトンの反撃の芽を摘む貢献を見せた。

　期待の18歳が初めてリーグ戦フル出場を経験した試合後は、本人も、監督も、そしてファンも笑顔だった。

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