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大迫勇也の存在感は本田・中田級。
「代わりがいない」を前提に進め。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/03/30 11:30

大迫勇也の存在感は本田・中田級。「代わりがいない」を前提に進め。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

日本代表の攻撃は、大迫勇也がいるかいないかで大きく変わる。それを受け入れたうえで前に進むしかない。

大迫が使い分ける緩と急。

 ここに大迫がいると、どうか。

 彼はテクニカルな攻撃にも、スピーディなアタックにも、両方対応できる器がある。選手の距離感を詰めて連係で崩す時は、安定したボールテクニックで味方の動きを促進させられる。少々距離感が空いた状態で仕掛けるカウンター攻撃でも、相手DFに強さで対峙しボールをキープ。タメを作ったあとは、縦方向に矢印が向く味方の速度を落とさぬまま、攻撃の起点になれる。常に、決定的な仕事ができる選手だ。

 最近、大迫のことをかつてのトッティやルーニーのような選手と評価する声もよく聞こえる。点取り屋が本職だが、パスも出せるしタメも作れる。緩と急、両方の攻撃を生み出すことができる彼は、もはや何でも屋だ。

 かつての代表チーム。本田はトップ下の位置で、いまの大迫のような役割を担っていた。安定したキープ力と対人への強さ。攻撃陣の中にその重しがあったからこそ、テクニカルな香川が攻めに変化を生む存在になり、アジリティ重視の動きをする岡崎慎司が生きた。

大黒柱は、周りの選手をも輝かせる。

「上手くて強い」の代名詞的な選手だった中田もそうだった。トップ下であろうがボランチであろうが、正確なテクニックとパスで狭いエリアを突き、また強靭なフィジカルと推進力で速い攻撃も下支えした。

 これは時の巡り合わせも関係するものだったかもしれないが、歴代屈指の技術力を誇る中村俊輔や小野伸二も、代表では中田がプレーしていた時代により活躍していた。中田の存在の大きさが、時に彼らを不本意な役回りにしたこともあっただろうが、上手さが突出していた2人以上に、2006年に引退するまで強さと安定したテクニックを兼備していた中田こそが、世界と戦う日本代表の大黒柱だったことは間違いない。

 戦術的な修正で、好転することや解決することはある。その方向性を強く信じる人にとっては、大迫だ、中田だ、本田だという観点は、あまりにも物理的な理由に傾いているように見えるだろう。

 ただ一方で、テクニカルな選手とその連係だけで勝とうとするなら、メッシやシャビのレベルまで突き抜けないと厳しい。スピードやフィジカルを前面に押し出しながらプレーする選手たちも、アングロサクソン系や黒人系の選手に局面で打ち勝つには、果敢な姿勢や意識だけでは限界がある。

【次ページ】 大迫の代わりがいないなら布陣変更も。

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