ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
大迫勇也の存在感は本田・中田級。
「代わりがいない」を前提に進め。
posted2019/03/30 11:30
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Takuya Sugiyama
ボリビア戦、雑感。3月26日に神戸で行われた日本代表戦を取材した。試合を見つめながら、こんなことが頭によぎった。
「大迫不在。このチームは、大黒柱のない家みたいだなあ……」
いまや言わずと知れた日本のエース、大迫勇也。負傷の影響で今回は招集外となっている。
「大迫頼みの攻撃ということについて、私も質問を受けたり、いろんなところで見聞きしている。彼が代表で非常に重要な選手であることは間違いない」
森保一監督もチームにおける彼の存在の大きさは認める。しかし同時に、こうも続けている。
「大迫だけではなくて、誰が抜けてもその時のメンバー、出ている選手でベストな戦いをすることを常に考えていきたい」
当然だろう。替えのきかない選手が使えないからといって、監督が指をくわえて戦況を見ているわけにはいかない。新たな代替案を提示して、組織を機能させる必要がある。
ただ、ボリビア戦を見ながら感じたのは、大迫不在時に必要な次善策を築けるほどまだ日本は盤石なプレー観も選手層も持っていないのではないか、という危惧だった。
迫力はあるがタメのない攻撃。
この4日前に行われたコロンビア戦は、0-1のスコアではあったが、内容は完敗に近かった。
森保ジャパンの看板でもある中島翔哉、南野拓実、堂安律が揃い踏み。縦に速く、ひたすらゴールに向かっていく迫力ある攻撃は彼らの武器であり、実際に躊躇なくシュートを打っていった。その姿勢は継続の価値がある。
ただ、これも予想通りの展開になってしまったが、攻撃リズムが一辺倒だった。言ってみれば、前に縦にイケイケドンドン。中盤の底で柴崎岳が必死に緩急のコントロールをしようとしても、手元の操縦桿のさばきでは追いつかないほどガンガン前に行き、速さを緩めない。
タメもない、メリハリもない攻撃。日本人アタッカーは世界レベルと比べると決定的に精度が落ちるという現実もある。打てども打てどもゴールを決められないまま時間が過ぎ、攻め疲れ。相手も百戦錬磨の守備勢。最後は対応に慣れてきて、日本を封じた。