Jをめぐる冒険BACK NUMBER
FC東京の甘さを「本気」で変える。
殻を破った新主将の10番、東慶悟。
posted2019/03/29 17:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE
3月17日に行なわれたFC東京と名古屋グランパスの首位攻防戦。永井謙佑の先制ゴールの余韻に浸るチームメイトを現実の世界へと引き戻したのは、FC東京の新キャプテンだった。
ゴール裏で永井を祝福し、笑顔で戻ってくる仲間たちをセンターサークル内で待ち構えていた東慶悟は、ひとり険しい表情で指示を出していた。
早く戻れ、集中しろ、まだ試合は終わってないぞ――。そんな声が聞こえてくるようだった。
「名古屋は得点力のあるチームなので、1点取って勝てる相手じゃない。(長谷川健太)監督もよく言うんですけど、失点したあと、得点したあとってゴールが生まれやすいので。集中していこう、もう1点取りにいこう、ってみんなに伝えたんです」
試合後、東はこともなげに振り返ったが、その思考、その行動に、新キャプテンとしての覚悟が見て取れた。
「カジさんから付けてほしい、と」
プロ11年目、今年29歳となる東にとって今季は、「変化」のシーズンである。
まず、背番号が38から10に変更された。FC東京の10番といえば、アカデミー出身の梶山陽平が11シーズンにわたって背負ってきた番号である。「トーキョーの10番は、オーオ、梶山陽平」というチャントがあるくらい前任者の色が濃く、責任は重大である。
むろん、東もその重みは十分理解している。
「カジさんが『慶悟に付けてほしい』と言ってくれて、素直に嬉しいですけど、もちろんプレッシャーも感じています。でも、僕自身、もっとレベルアップしたいというか、もっとうまくなりたいし、もっと良い選手になりたい。10番は刺激になると思ったので、引き受けました」