野球のぼせもんBACK NUMBER
サファテ不在のソフトバンク。
気になる加治屋蓮の回復状況。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2019/03/29 07:00
オープン戦で回復ぶりを見せつけた加治屋蓮。今年もフル回転の活躍を期待したい。
セットアッパーの不在。
となれば、9回のマウンドは今年も森だ。“代魔神”だった前半戦は力みから乱れることも多かったが、「オールスターで投げた時、力を抜くというか、リリースの瞬間にだけ力を入れる投げ方を試しました。極端に言えば0から100。すると相手打者が嫌がるような反応をしてくれた。それで後半戦もそれを意識して投げていました」と急激に安定感が増してシーズン37セーブをマーク。タイトルを獲得した。
森は今季オープン戦も順調で、工藤公康監督も「安心して見ていられる」と高く評価している。
一方で、そこへつなぐまでのセットアッパーが最後まで固まらなかった。オープン戦の最終盤になっても工藤監督は質問に対してはぐらかすばかり。たしかに、サファテのアテが外れた時点で不確定要素ばかりだった。
昨季72試合に投げて31ホールドを記録した加治屋蓮は右肩違和感を訴えて2月のキャンプ中はほとんどがリハビリだった。昨季先発と中継ぎにフル回転して13勝の石川柊太も右肘の不調などで同じくリハビリで過ごした。左腕の嘉弥真新也も股関節に異常を感じた時期があった。つまり計算できる投手たちには何かしら問題があった。
また、キューバ人左腕のモイネロは外国人登録枠の問題で、最後まで確定ランプは灯すまで至らなかった。
甲斐野、川原も未知数。
では、新顔はどうだ。
ドラフト1位の甲斐野央は東洋大学で抑え専門で投げており、剛速球が自慢の右腕だ。オープン戦初登板(3月3日、阪神戦)でいきなり158キロをマークしてみせた。潜在能力の高さは間違いないが、オープン戦は7試合登板で0勝1敗1セーブ、防御率8.53と振るわず。球速の割に空振りが少ないのが気になる点だ。
それならば、川原弘之の方が面白いかもしれない。一軍での登板は通算3試合、さらに'16年に育成に降格し、5年間も一軍マウンドから遠ざかっているが、かつて158キロを投げたその可能性を信じて球団は10年目の今季も契約を結んでいた。いわば奇跡のような投手だ。
一昨年オフに千賀滉大に相談して参加した自主トレをきっかけに痛めていた左肩が回復し、新しい投球フォームも見つけた。今季はオープン戦で最速154キロをマーク。8試合に投げて防御率0.00と結果を残した。ただ、現時点では経験値不足。セットアッパーを任せるには少々不安だ。