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「明徳イズム」を引き継ぐ公立校。
勝因は“メイショウ”の分析にあり! 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byKyodo News

posted2019/03/28 17:30

「明徳イズム」を引き継ぐ公立校。勝因は“メイショウ”の分析にあり!<Number Web> photograph by Kyodo News

明石商業のエース中森が141球の力投。狭間監督の信頼も厚い。

「2ストライク後の打ち方」

 試合は、2回裏に動く。明石商は2アウト走者なしから、ヒット2本と四球で満塁のチャンスをつくり、打席には中森俊介。フルカウントから低い直球を見極めて、押し出しで先制点を奪った。

 試合後、放送局の代表取材に狭間はこう説明している。

「あの中森のフォアボールが大きかったですね。よく、あのツースリーからの低めの球を見逃してくれて。うち、2ストライクになってからの打ち方を決めてますんで」

 その後、ペン記者による囲み取材の中で「2ストライク後の打ち方」について確認の質問が飛んだ。狭間は「秘密です」と苦笑しながら、一端を明かした。

「こうすれば、あの球を振らない。この球は振りにいける。そういう(意識づけの)練習はしているので。だからショーバン(ショートバウンド)を振ることはほとんどない。2ストライクになってからの待ち方、打ち方は、ほか(他校)とは絶対違うと思います」

狭間監督の予感。

 中森の押し出し四球に続いて、来田涼斗の2点適時打が飛び出した。国士舘の永田昌弘監督は「3点以上取られたら、それを取り返す力はない」と語っていたのだが、その「3点」が明石商に早くも転がり込んだ。

 4回に1点を返され、3-1のまま試合は後半へと入る。狭間のアンテナが、ある予感をキャッチしたのは7回だ。

 明石商の攻撃、ノーアウト二塁の場面。わざわざタイムをかけて伝令を二塁走者のもとに送った。

「バントが(野手の)正面を突いたら戻りなさい、と。(塁は)詰まってないから、バントしたからといってサードに行くことないよ、というコメントを残しただけです。バントしたら(つい)サード行ってしまうんで。バントがダメやっても戻れば1アウト二塁になるので。それ(二塁走者が戻っていること)に野手が気づかないで(三塁に)投げたら、一、三塁になる可能性もありますし。そのへんの練習はうちはやってるんですけど、徹底を、1回タイムを使ってやっただけです」

 チャンスをつぶさないための「戻る勇気」を持てと言い、それと同時にチャンスが広がる可能性も考慮していた。ここでの結果は単なる「送りバント成功」に終わったが、1球に懸けるこの執着が、高い勝率の源泉になっているのだろう。

【次ページ】 勝っても、満足はしない。

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