野球善哉BACK NUMBER
菊池雄星を変えたノートと思考法。
「自分を知ることで全てが良い方へ」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/20 11:30
菊池雄星という選手の思考法は、おそらく多くの人のイメージを裏切る精緻で繊細なものだ。
「僕がノートを公開する理由は……」
『雄星ノート」では、中高時代の純粋な野球への思いから始まり、プロに入って壁にぶち当たった葛藤の日々、そして自分を革命していく中で、トレーニング、ピッチングフォームが確かなものになっていく過程が改めて辿られる。
「自分がしてきたことの全てが正しいと思っているわけではありません。その道で成功するためにはノートを書くべきだとも思いませんし、僕と同じようにウェイトトレーニングをしろとか、メンタルトレーナーをつけるべきだということでもない。僕に共感してほしい、受け入れてほしいというのではありません。
ただ、僕がこうしてノートを公開しようと思った理由は、1つの考え方を世に出すことが何かのメッセージになるのではないかと思ったからです。
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プロ入りしてから順調ではない時間が僕には長くありました。もがいていた時があり、その中からなんとか状況を打開しようとしてきました。そんな、僕が取り組んできたことについて議論が生まれるならそれでいい。菊池雄星の取り組みが、必要だよ、いや必要じゃないよ、と語り合ってほしいというのが僕の願いです」
本書の中で菊池はそう語っている。
メジャーの夢を実現した男の足跡――。
最速158キロを投げる左腕の足跡――。
次世代へとつながる1冊であると自信を持ってお伝えしたい。
文藝春秋BOOKS
花巻東高校から埼玉西武ライオンズ、そしてシアトル・マリナーズへ――。「いつかメジャーリーガーになる!」という夢を実現するため、中学時代から書いていた秘蔵の野球日誌を一挙公開! 雄星の野球人生の苦楽を知ることができる、野球人生で一度しか作れない、唯一にしてスペシャルな1冊。
<本体1,400円+税/菊池雄星・著>
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