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松岡修造の「何を上げているか?」に、
パラパワーリフター・大堂秀樹の答は。 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

PROFILE

photograph byYuki Suenaga

posted2019/03/19 10:00

松岡修造の「何を上げているか?」に、パラパワーリフター・大堂秀樹の答は。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

前列左から、マクドナルド山本恵理、大堂秀樹、後列は吉田寿子局長。東京パラリンピックをみんなで目指す!

「愛し合っていてもダメなんですね」

 休憩をはさむことなく対談は続く――。

 松岡さんの尽きせぬ好奇心と、それに応えようとする大堂さんのユーモア交じりの責任感。2人の想いが共鳴し合っているようだ。時間が経つにつれ、2人の表情に笑顔が増えていった。

松岡「バーベルを上げる上で、一番大事な体のパーツはどこなんですか」

大堂「背中と首。背中はどれだけしっかり重さを受けきれるかという部分で、首には自由に動かせる太い筋肉がある。この2つをうまく使うことで力が出るんです」

松岡「首も鍛えれば武器になるんですね。背中も大事なんですか」

大堂「大事です。だから突然、『元気~?』なんて後ろから背中を揉まれると怒ります。けっこう本気で」

松岡「ちょっとそれは、大堂さんの『注意書き』としてどこかに書いておいてもらって良いですか? わからないですよ、怒られる理由が」

大堂「猛犬注意みたいなの、書いておきましょう(笑)。叩くのはまだ良いんですけど、ぎゅって揉まれるとその手の感覚が肩にずーっと残るじゃないですか。バナナを潰したら元には戻らないのと同じ理屈で、背中に1カ月くらいつぶれた感覚が残り続ける。本当にそのくらい嫌なんです。かなりのストレスです」

松岡「それで誰を怒りました」

大堂「嫁さんとか」

松岡「奥さんは仕方ないでしょ。頑張ったねって、自然と触りますよ」

大堂「頑張ったね、じゃなくて、何かの拍子にグッと手をつくわけですよ。なんだかね、車椅子だと、ちょうど健常者が手をつきやすい高さに肩と背中がある。そのストレスがまたケガにつながるかもしれないんですよ」

松岡「愛し合っていてもダメなんですね。うーん、それだけたくさん筋肉がついているなら大丈夫にも思えますけど」

大堂「いやいや、そういう話じゃないんです。例えば100万あるから1万円を抜いても良いことにはならないでしょ」

松岡「そのたとえもよくわからない(笑)。でも、それだけ筋肉が繊細なんですね。そこまで感覚が鋭くなったのはいつ頃からですか」

大堂「けっこう前からですね。いつごろからかわからないくらい」

松岡「それだけ鋭かったら、今日の赤いきつねは麺がのびているとか、気が抜けたコーラも気になるでしょ」

大堂「だから……それは気にしない(笑)」

【次ページ】 「220kg以上は上げたいです」

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