松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
松岡修造の「何を上げているか?」に、
パラパワーリフター・大堂秀樹の答は。
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/03/19 10:00
前列左から、マクドナルド山本恵理、大堂秀樹、後列は吉田寿子局長。東京パラリンピックをみんなで目指す!
「たまになにを言ってるかわからない」
松岡「恵理さんから見て、秀樹さんの一番の天才的な部分ってどこですか」
山本「天才に見えないところ」
大堂「いや、だから2、3年に1人の天才だから(笑)」
山本「大堂さんは、経験もあって本当にすごいのに、それを絶対に見せない。偉ぶらないから何でもすぐに聞きに行ける。たまになにを言っているかわからないけど、丁寧に教えてくれます(笑)」
松岡「ほら、後輩が『たまになにを言ってるかわからない』なんて言ってますよ。自分の感覚を、きちんと言語化して後輩に伝えていかないとダメですよ。大堂さんからかけられた言葉で、印象に残っているものは何かありますか」
山本「ちょうど3日前に試合から帰ってきたばかりなんですけど、その時は『自分を信じろ』と言ってくれました。それから、『自分を信じられなかったら、俺を信じろ』って(笑)。でも、本当にそれで上がりました!」
松岡「おお、これも不思議な、でもいい言葉ですねえ」
大堂「実はアニメの受け売りなんです。アニメも漫画も好きで、『天元突破グレンラガン』の中のセリフで『お前を信じる俺を信じろ!』というのがあって、いいなあ、と思ってたんです」
松岡「恵理さんは何を食べているんですか。秀樹さんから学んで、赤いきつね(笑)?」
山本「私の場合は、どら焼き。試合の前に検量が終わったら必ずどら焼きを食べるんです」
松岡「どら焼き、いいですねえ。でも、こうやって良い雰囲気の中で、日本チームとして切磋琢磨しているんですね。秀樹さんが後輩に優しいというのもすごく伝わってきます」
「力だけだったらゴリラの方が強い」
大堂「僕がこの競技を始めた頃に、大阪に岩崎輝雄さんという『ベンチプレスの神様』と言われた方がいて、今でもその時に話してくれたことを覚えているんです。『力だけだったらゴリラの方が強い。だから人間、どれだけ強くなっても謙虚でいなさい』と。それを守った結果がこうなりました。今では女子の選手にまでナメられてしまって、先輩としての威厳がまったくない……」
松岡「それでいいじゃないですか。素敵ですよ。ちなみに、秀樹さんは試合中も何か食べたりするんですか」
大堂「試合中は、アルファベットチョコ。昔からある、サイコロ状のチョコです」
松岡「やっぱりあるんだ(笑)。聞いてみて良かった。それにしても、大堂さんと話していると、無性に赤いきつねが食べたくなってきました。今度、みんなで食べましょう!」
大堂「じゃあ早朝5時の朝食、今度付き合ってくださいね(笑)」
(構成・小堀隆司)