“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「岐阜ならサッカー上手くなるぞ」
山岸祐也が信じた大木監督の言葉。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/03/13 07:00
岡山戦では前線からの激しいプレスでゴールを呼び寄せた山岸祐也。今季の目標は10ゴールと自信を見せる。
「知識→意識→無意識」
「2本ともイメージ通りですね。1本目は微妙な位置にいたGKと相手DFの動きが見えた上に、ライザ(ライアン・デ・フリース)が飛び込もうとしていたのもわかった。
2点目はライザがニアに、その後ろには宏矢の姿も見えていました。大木さんからも、“クロスはニアに走れ”とずっと言われていたので、あの位置にクロスを入れたら何かが起こるという感覚でした。クロスもイメージ通りだった」
試合後、ハキハキとプレーを振り返る山岸に、「あそこまで攻守のスイッチの切り替えが早くなったのは本当に成長の証ですね」と素直な意見をぶつけてみた。
すると、山岸は「これまでの俺では想像がつかなかったプレーですよね」と満面の笑みを見せた。
「1対1の身体の入れ方などはずっとやってきたけど、そこまで切り替えを意識したことがなくて、それは岐阜に来てはっきりと言われるようになった。
よく大木さんは『知識→意識→無意識』と口にするんです。
まず知識を得て、それを意識的にやって、最終的には無意識でできるようにする。あの2本の切り替えも無意識でできたんです。自分で言うのもなんですが、1年間取り組んできた成果だと思います」
山岸のプレーで思い浮かぶ監督の言葉。
この言葉を聞いた時、筆者の頭にはあの言葉が思い浮かんだ。
「お前、岐阜ならサッカー上手くなるぞ」
山岸に「大木監督の言う通りになったね」と話すと、彼はハッとした表情を浮かべて、こう口にした。
「確かに、あの言葉は現実のものになっていますよね。ただ、意識を持って、毎日練習しただけですから。特別なことはしていません。真剣に取り組んでいたら、無意識でできるようになった。……まさしくそうですね」
改めて自分が岐阜に来た意義を噛みしめるように、山岸はさらに続けた。